大学案内

原子力システム安全工学専攻のスタートにあたって

  

    新原 晧一
     長岡技術科学大学は常に未来を視ています。また、大学における教育研究の成果は、社会が継続して発展するエンジンとして還元され、我々の未来を明るく照らすものでなければなりません。この大学の使命を、今まで以上に確実に果たすため、本学は昨年8月に「長岡技術科学大学中長期成長戦略」とそれを着実に実行するための“アクションプラン”を策定しました。これらは、本学の理念である「社会の変化を先取りする“技学”を深化させ、未来社会で持続的に貢献する実践的で創造的能力と奉仕の志を備えた指導的技術者を養成する、大学院に重点を置いたグローバル社会に不可欠な大学を目指す」ことを着実に実現するためのものです。

     平成24年4月から大学院修士課程に原子力システム安全工学専攻をスタートさせたのも、この「長岡技術科学大学中長期成長戦略」の一環です。国内の原子力関係機関で活躍している技術者の高齢化による後継者不足を解消し、世界標準のシステム安全の考え方とスキルを身につけた原子力工学人材を育成していくためには、この原子力システム安全工学専攻の設置が不可欠であると確信しています。地元の新潟県内の各自治体や商工会議所からも設置の要望書を頂き、2年以上も前から準備を進めてきました。しかし、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故によって状況は一変し、日本の長期エネルギー政策における原子力発電の役割に関する様々な意見が噴出し始めたため、この専攻の設置については悩みに悩みました。

     しかし、敢えて今だからこそ、柏崎刈羽原子力発電所に近い本学だからこそ、未来に向けた長期の人材育成を目指し、今までの日本に無かったシステム安全を深く理解した原子力技術者を育成しなければならないと決断し、昨年5月に文部科学省の大学設置審議会に設置申請しました。ご理解いただくまでに相当な時間を費やしましたが、4月からの設置が認可されました。

     国際社会においても、原子力に関する技術者や管理者の不足が大きな課題になっている中、システム安全の考え方を理解したグローバルに活躍できる原子力技術者の育成を目指す、本学への期待は今後大きくなると考えています。この専攻を修めた学生には国内だけでなく、グローバルな舞台でも活躍できる高度の指導的技術者として成長される事を期待しています。

     このホームページをご覧になっている皆様におかれましても、本学が原子力システム安全工学分野で推進していく教育・研究が我々の未来に不可欠である事をご理解いただき、引き続き力強いご支援・ご協力を賜わりますよう、よろしくお願いします。

    長岡技術科学大学長 新原晧一



    原子力安全系 教授・准教授からのメッセージ



    所属 氏名 原子力システム安全工学専攻スタートにあたっての抱負
    安全技術講座 小川 徹(教授・系長)  福島第一発電所事故は、我が国の原子力エネルギー利用と規制の両面に大きな問題があったことを鋭く示す結果となりました。それら体制の再構築を支えるべき人材の育成が従来と同じであってはなりません。専門性に根ざし広い視野を持った技術者を社会に出して行くことが新専攻の使命です。
    私は原子力研究開発機構で核燃料や超ウラン元素の高温化学を研究してきました。技大では核燃料工学とバックエンド工学とを担当しますが、特に燃料の事故時挙動や廃棄物管理に関わる要素技術や学習用ソフトウェアの開発を通して、原子力発電シス テムの全体像を捉え直すことを考えています。
    片倉 純一(教授) 原子核データと原子力応用の関わりに関心があり、これまで原子炉崩壊熱、臨界安全について研究を行ってきました。
     原子核データは放射性核種の生成消滅の基盤データで、その信頼性が安全評価の信頼性向上につながります。
     核データをとおして原子力利用の安全性について貢献したいと思っております。
    岩崎 英治(教授)  福島第一原子力発電所の事故は、地震による送電鉄塔の倒壊や津波による非常電源の喪失などにより冷却機能が失われたために起こりました。地震等の自然災害に対する地盤防災、津波の予測や構造物の耐震化などの建設分野の技術は原子力施設の設計にも生かされています。しかし、地震の規模や発生場所・時期を予測することは非常に難しく、絶対に安全な構造物を作ることはできません。このような自然災害を避けることのできない原子力施設の安全性向上と防災対策に、建 設分野の技術を役立てたいと考えています。
    鈴木 達也(教授)  原子力における最大の問題の一つは、核エネルギー開放に伴い発生する廃棄物をどのように扱うかです。これら「廃棄物」には燃料として利用可能なア クチノイド、希少資源である白金族やレアアースを含んでおり、高度分離技術により「廃棄物」を「資源」にすることが可能です。当研究室では、放射 化学とプラズマ化学を応用することにより「廃棄物の資源化」に取り組んでいます。また、この技術は原子力施設における過酷事故で発生した放射性物 質の分離除去にも応用することが出来ますので、福島事故で発生した汚染物や廃棄物処分に役立つ仕事が出来ればと思っております。
    菊池 崇志(准教授)  粒子加速器によって生成する、放射線の一種である粒子ビームの理工学について、理論・数値シミュレーションおよび実験によって研究を進めています。
     粒子ビームの応用としては、水環境問題への取り組みや次世代のエネルギー源の候補である核融合発電への応用を研究テーマとしています。
     放射線を安全に有効利用することは、原子力システム安全工学の基礎であり、重要な課題でもあります。
    安全マネジメント講座 三上 喜貴(教授)  当研究室(安全・技術・社会研究室)では、システム安全の考え方と手法を活用して原子力施設の安全について研究します。特に原子力施設の安全マネジメント、災害対応、危機管理、過酷事故の影響評価などを中心に研究を行っていく予定です。ますます重要な役割を担うことになる原子力技術者の技術者像の探求も重要なテーマです。
    エネルギー技学講座 末松 久幸(教授) 極端条件による新機能材料作製と放射線を利用した材料分析に関する研究を行っております。
     新材料開発は、単に部品の性能や寿命を上げるだけでなく、最終製品の設計を根底から変えることも出来る底力を持つ技術です。
     これまで培ってきた極端条件利用材料作製のシーズを生かして原子力材料開発を行い、原子力プラントの安全性向上に貢献し たいと考えております。
    江 偉華(教授・副系長) パルスパワー技術を用いた極限エネルギー密度工学の基礎と応用研究を推進しています。高出力荷電粒子ビームを用いたパルス電磁放射の発生、極限回路技術を駆使した高性能パルス電源開発、および非平衡プラズマの生成と応用は主な研究テーマです。
     原子力の欠かせない安全・安心社会構築に貢献してまいります。



  • 2012専攻案内 原子力システム安全工学専攻(PDF:791KB)

  • 原子力システム安全工学専攻ホームページ
  • 原子力システム安全工学専攻に関する問い合わせ⇒ E-Mail:



  • <入試情報>
    大学院工学研究科修士課程原子力システム安全工学専攻の学生募集についてはこちらで確認できます。


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