VOS,No.104


 特集:大学院ってなんだ? [Back]

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大学院―君の未来への懸け橋―

副学長(研究担当)
飯田 誠之

 大学院には学部を卒業してから標準で2年間必要な修士課程と2+3=5年間必要な博士課程が在ることはよく知られていますが,在学中にどんなことをし,将来にどうつながるのかということは修了生でないと意外に分からないかもしれません。そこで,学部に在籍中の学生諸君や未来の技科大生に私見に基づいて説明を試みてみようと思います。
◇やりたいこと(=専門)を徹底的に学ぶ期間
 各専攻での授業が必修と選択に別れていて,それぞれ必要単位を取らなければ修了できないようになっていますので,一見学部と同じように見えるかもしれませんが,中身は大きく違います。必修は学部の授業のように学科ごとに同じことをやるのではありません。基本的には研究室のゼミで,配属の研究室によって異なります。しかも必修は通常これしかありません。選択の授業はやりたいことに関連した授業を自ら選び,必要単位を取ればよいのです。他の専攻の授業でも興味があれば原則的に自由に取ることもできます。他専攻の授業でもある範囲内ですが,修了要件単位として認められます。すなわち大学院では,自分のやりたいことを徹底して選んで学べるようにカリキュラムが整えられています。
◇勉学の総仕上げと未来の芽を育てる期間
 昨年大学の自己点検と外部評価のために実社会で働いている本学出身の修士修了生にアンケート調査を行い,幾つかの項目について5段階評価をしてもらいました。“大学で報告書作成能力が習得できたか”との項目に4又は5と評価した割合は65%でした。一方,学部での実務訓練終了時に毎年行っている習熟度調査の同一項目の満足とやや満足をそれぞれ5,4に対応するとみなすと,この割合は約30%です。これらの数値の比較から修士課程を修了すると仕事上必要な報告書作成能力は向上し,三人中二人までが問題の無いレベルに到達できていることを示していると考えられます。
 修士課程では修士論文を作成することが義務づけられています。これはもちろん修士の研究テーマについての成果を報告書としてまとめるものですが,小学校から始めた勉強の総仕上げの意味もあります。学生諸君は未来社会の担い手です。自分の未来に対する芽はこのような過程でおのずとはぐくまれます。博士課程を修了する学生はさらに博士論文を仕上げることになりますが,これが仕上げられるということは完全に独り立ちできる専門家としてのスタートが切れるということを意味します。修士論文の完成,博士論文の完成はこれからの自分に確かな自信を付けてくれるはずです。
◇専門的職業人としての社会人への助走期間
 本学の修士課程に在学するほとんどの学生は実務訓練の経験者のはずです。実務訓練の経験からどんな社会人になればよいかが実感として分かっているはずです。大学院の期間はこのような目標に自ら近づく努力をする期間でもあります。大学院では多くの研究室で学生に学会発表を経験させますが,このような経験によっても自分のやっていることや自分自身の位置付けが明確化できます。学会発表は指導教官と一緒になって他の研究者たちと真剣勝負をする場です。外国の国際学会で学生が研究発表することを旅費の援助まで考慮して積極的に勧めています。このような機会は異なる文化に触れたり,世界の中の日本を理解する助けになったり,外国人の友人を作ったりするすばらしいチャンスにもなり得るのです。
 以上説明したように大学院を一言で表せば,一般の学生にとっては,専門を生かす一生の仕事への橋渡しをするシステム−未来への懸け橋−であると言えそうです。君は未来にどんな懸け橋を架けますか?