VOS,No.104


 特集:大学院ってなんだ? [Back]

0 (OBから)
後輩へのアドバイス

石川島播磨重工業株式会社 技術開発本部
基盤技術研究所 構造研究部構造解析グループ
島村 和夫


仏研修生を囲んで(筆者は右端)

 日本造船学会誌第848号の記事「技術教育について−重工業の立場から−」によると,重工メーカーの求める人材とは四大力学(材料・熱・流体・構造)+制御の知識と人間力(明るさ,向上心,判断力他)を有する人であり,即戦力は期待されていません。それが求められるのはゲームソフト業界くらいでしょう。大学院修了者の増加と質の低下の問題も背景にありますが,大学院までの勉強・研究を直ちに実際の物作りに役立たせるのは困難なのです。就職時に専攻と無関係の部署に配属される場合も多いですが,変化の激しい今日何事にも柔軟に対応する必要があると割り切った方が良いかもしれません。修士課程の研究の意味としては,一つの研究を完遂するプロセスを経験することそれ自体にあると考えます。まず,研究の目標を明確に定め,指導教官や仲間と活発に議論しながら計画的に研究を進め,最後は論文を投稿するなどの成功体験を積むよう心掛けることが大切でしょう。
 さて,写真はこの夏にフランスの大学から来た研修生を囲んで撮ったスナップです。私は度々海外からの研修生を指導し,また1年ほど渡航する機会もありましたが,海外の学生・研究者と比べると自分の適応力のなさ,物事を纏め上げる力の欠如を痛感させられます。語学力はもとより経済や歴史等の勉強不足も反省しています。
 以上,自戒の文となりましたが参考になれば幸いです。



(平成3年3月 建設工学専攻修了)



すべてはつながる

東レエンジニアリング株式会社
繊維機器プラント事業本部商品開発室
杉山 研志

友人の結婚式にて(後列右から2番目が筆者)

 南アフリカ出張の準備をしている折,大学院の恩師からの電話の声。内容はVOSへの寄稿依頼でしたが仕事に忙殺される毎日の中でふと懐かしく学生時分のことを思い出しました。
 私の今の仕事は高い付加価値を持った紡糸機械の開発設計です。主に海外との取引が主流で世界の綿花畑をやがて我が社のプラントで賄うという野望?を持って日々駆け回っています。
 学生時代において不断にあるものそれは時間でした。時間の浪費も若さの特権ではありますが,誰しも必ず知的好奇心があり,これを向上させることができる不断な時間が大学院と考えています。大学での単位を取るためだけの知的ルーチンのようなものではなく,ここでは先生の指導の下に様々な問題解決の糸口を論理的につなぎ,目標に到達することによって知的欲求を満たすことができます。
 いざ研究に入ると,作業が確実に目標に向かっているのかというジレンマに陥ることや遊びすぎて研究の時間を浪費することも間々?あります。しかし,この徒労や浪費も目標を到達させるときに必要なつなぎになることに気付きます。これをなくして目的の達成はありません。このことを大学院の研究生活の中で是非体験していただきたいと思います。大学院で学ぶ専門的な知識や壁に打ち当たったときの問題解決の方法は実社会で必ず自信につながります。

(平成7年3月 創造設計工学専攻修了)