VOS,No.107

 新旧副学長から [Back]

0 長岡技大に着任して
副学長(教育担当)
井上 明俊
 4月1日付けで,本学の副学長に着任しました。今から20年前の昭和55年から57年にかけて新潟県教育委員会に勤務したことがあり,何度か長岡に来たことがあるので,とても懐かしい気がします。
 引っ越しをしていた4月1日の早朝に積雪があり,入学式になっても学内に雪の山が残っているのに驚きましたが,その後,春を待ちかねたように,草木が花を咲かせ,新緑が広がっていくその速さに,雪国の春を改めて実感しました。
 技大の桜並木も大変美しく,今年は4月中旬ころが満開だったと思いますが,東京から赴任してきた私は,江戸の桜と越後の桜と2度の花見をすることができました。
 さて,私のこれまでの経歴についてですが,その大部分は,国の教育・学術・文化行政に携わってきました。大学と関係のある仕事では,学生課,留学生課,学術課などで働き,その他,日本学術振興会で出資金事業の立ち上げに関与しました。本学に来る直前の職場は,大学入試センターで,毎年のセンター試験実施のほかに,大学審議会の答申を受けたセンター試験の改善,センターの独立行政法人化などに取り組んできました。
 現在,国立大学は,戦後最大の改革の時期を迎えています。昭和40年代当初の大学紛争は,大学にとっては大事件でしたが,それは,「国立」という基盤の上に立った管理運営等の在り方を問うものでした。しかし,今回の独立行政法人化の議論は,設置形態という基盤そのものを変えようというものであり,しかも,その背景には,国家としての行政の合理化・効率化を目指すということがあります。
 大学にとって厳しい時代ですが,この状況を,むしろ,これまで改善しようとしてもできなかったことを新しく導入できる好機ととらえ直すこともできます。今や護送船団方式のもとで中央官庁に依存すればよい時代ではありませんから,各大学は,自分の力で自らのあるべき姿を追求するしかなく,その意味では,各大学はその実力を問われています。
 大学は,言うまでもなく,教育と研究をその使命としています。
 研究については,今後ますますそうなっていくであろう競争的環境の中で,研究成果を世に問い,どのようにアピールしていくかが重要になってくるでしょう。
 教育については,特に国立大学においては,従来,ともすれば研究に押されてきた面があると思いますが,今後は,質と量の両面にわたる充実が要求されてくるでしょう。学生を在学中にどの程度満足させ,成長させることができるかという大学の教育力は,少子化時代にあって,大学の基本にかかわる大問題といえます。
 本学は規模の上では大きくありませんが,幸い他の国立大学に比べ教育,研究の両面において多くの特長を持っており,新しい時代に向けて,他と異なるユニークな大学を志向できると思います。
 このような時期に,本学に赴任したのも一つの巡り合わせと思い,学長を補佐し,本学の更なる発展のため,全力を尽くす所存であります。
 どうかよろしくお願いいたします。



0 「米百俵」精神・・・副学長退任挨拶
小山工業高等専門学校 校長
霜鳥 秋則
(前 副学長)
 恥ずかしながら「米百俵」の話は知りませんでした。2年9ヶ月前の7月に長岡に赴任の当時は。
 戦前の教科書などに山本有三の戯曲が掲載されてほとんどの人はご存じでしたが戦後生まれの小生ごときでは知識不足の極み。学内の図書館で読みました。ついでに,かの司馬遼太郎の「峠」も・・・。先般の総理大臣の演説に突然この話が出現し,しばらく「長岡生活」をした者として嬉しい限り。
 雪国北海道育ちの私としては,雪は何ともありませんでしたが,雪質は大違いで重くて雪かきが大変。冬の運動不足解消も毎日では飽きましたが,まあ,楽しい想い出。宿舎のお隣が瀬戸内広島出身なのでこちらの優位は揺るがず?「指導的立場」の冬の暮らしぶりでした。
 大学内の話では,学内の紀要に論文らしきものを書いたのと憲法の授業を行ったことが印象に残っています。後者は学生との接点として有意義でした。
 こちらに来たら学生がもっと若くてびっくり。もっとも15才ですから,新入生が。
 十数年ぶりの「学生生活実態調査」も,学生が何を思っているのか考えさせられました。是非数年後また実施してください。面白かったのは低学年の食堂の評判が良かったこと。大学院へ進むころには評価が下がっていたのは,さすがのコシヒカリも食べ飽きたせいかも。
 小山は栃木県の南にあり,県内のほか埼玉・群馬・茨城の各県から学生が入学してきます。建築学科は関東甲信越では小山にしかなく神奈川県は鎌倉の出身の新入生までいます。「後援会」と言う学校の父母会的な組織は,七つの支部がありそれぞれ活発な活動を行っており春秋のシーズンは毎週土日出勤という具合。新米「校長」も忙しい毎日です。
 先日の連休明け,こちらも磐梯青年の家で1年生の合宿研修を行ったときのこと。翌日,会津の鶴ケ城を見学。公園を歩いて鐘楼の解説を読んでいると上から「校長先生〜!」と黄色い?声。ちょうど昼の12時で,鐘をつく係りのおじさんに特別登らせてもらった我が高専の1年生の女子数名。上がってみるとこれから「九つ」(昔の12時)の鐘をつくところ。江戸時代からの200年以上も昔のよく響く鐘を順番につかせてもらった。突然その一人が唸(うな)っている鐘の中に頭をつっこんで「中は響かないよ」と同級生に報告。係りのおじさんの鐘の音を下に抜く仕組みの講義をうけて納得の様子。探求心が旺盛なのか単純なのか。ともかくかように元気な高専の女子学生がそのうち技大にも進学するでしょう。お楽しみに。
 大学生の学力低下が問題になり,新しい指導要領の問題も議論されています。就職し,社会で活躍している卒業生も多い学校です。約3割が専攻科を含め進学という実態。エンジニア養成という目標を維持しつつ,理数科好きの子どもたちの進学先の一つとして存在感のある学校にしていきたいと思っています。「米百俵」の精神を小山の地にも生かして頑張っています。今後ともどうぞよろしくお願いします。