VOS,No.107

 実務訓練シンポジウム [Back]

「実務訓練の成果と今後の展望」
実務訓練委員会委員長 高田 雅介
(電気系教授)

 平成12年度の実務訓練では,193機関へ314名の学生を派遣した。本学の「実務訓練制度」は23年の歴史をもち,「元祖インターンシップ」と言われている。しかしながら,実務訓練を経験した学生は全員大学院に進学するということと,期間が4ヶ月半と実施期間が長いという点で,いわゆる「インターンシップ」とは本質的に異なるものである。
 本年6月13日に,実務訓練受入先の企業関係者を本学にお迎えし,「実践的技術者養成のための実務訓練の新しい展開」と題してシンポジウムを実施した。
 12年度の特徴の一つとして,海外での実務訓練が9機関,22名(11年度は4機関,5名であった)と急激に増加したことが上げられる。このようなことから,まずスウェーデンのボルボエアロ社のPeter Fridolf氏の特別講演ならびに海外実務訓練生(機械システム梅原君)の報告があった。二人の講演から,海外での実務訓練の実体,成果,意義が良く理解でき,これから海外実務訓練を行う4年生にとって大変参考になったものと思われる。
 続くパネル討論会では予定時間をはるかに超過するほどの白熱したものとなったが,紙面の都合上パネリストの声の一部を紹介したい。

(前川製作所の柳氏)
  企業・職場での風土,文化に触れ,さらに企業での技術開発では商品化,製品化という目的に沿うことは絶対で,これが大学とちがうということを勉強してほしい。
(富士電機の岩井氏)
  お互いに利用可能な人間ネットワークを作りたい。
(日立マクセルの宮田氏)
  実務訓練生を引き受けることは企業の若手研究者にとっても大いにメリットがある。それは,原理原則の復習,易しく説明するための工夫等,教えることが一番の勉強になるからである。
(パスコの望月氏)
  実務訓練は社会人になるための社会勉強の良いチャンスとなる。
(松下電工の坂本氏)
  実務訓練生の保有スキルとテーマとの事前打ち合わせがポイントで,導入教育短縮とルーチンワーク軽減による研究効率アップが可能となる。また,大学の卒業研究として,大学側の意図,指導がどこまで入れられるか。できれば共同研究テーマが望ましい。
(経営情報系の三上教授)
  本学の3,4年生が書く文章と修士学生が書く文章の間には,わずか1年とは思えないほどの差があり,これは実務訓練の成果と思う。

 最後に,機械系の矢鍋教授からパネリストに対して,海外での実務訓練の可能性に対して質問があったが,今回のパネリストからは前向きの回答は得られなかった。先程も述べたように,海外での実務訓練は今後益々盛んになっていくと思われるが,まだまだ解決すべき点が多くあり,これらを一つずつ解決しながら海外実務訓練を展開していかなければならないという印象を受けた。


平成13年度 実務訓練シンポジウム概要

 本学の実務訓練は,これまでの20年余の実績により,学生,引受機関,大学の三者から高く評価されています。しかし,この間の激しい国際化を初めとする社会情勢や教育環境の変化により,技術者に対する要求も大きく変化し,実践的能力とは何か,という根源的な疑問が再提起されています。
 今回のシンポジウムは,『実践的技術者養成のための実務訓練の新しい展開』をテーマに開催されました。

期   日 平成13年6月13日(水)
会   場 長岡技術科学大学 A講義室
プログラム
(1) 副学長あいさつ
(2) 平成12年度の実務訓練概況及び基調講演
実務訓練の意義と効果 −多様化とグローバル化時代への対応−
副学長(研究担当)  飯田誠之
(3) 特別講演
スウェーデンにおける長期企業実習について
Peter Fridolf(Volvo Aero Corporation)
(4) 海外実務訓練生の報告
機械システム工学専攻1年  梅原 孝
(5) パネルディスカッション
(司   会)
長岡技術科学大学教授  白樫 正高
(パネリスト)
(株)前川製作所 技術研究所 エネルギー基礎研究室 室長  柳 秀治
(株)富士電機総合研究所 機器技術研究所 研究マネージャー  岩井 弘美
日立マクセル(株) 開発本部 電池開発研究所 主幹研究員  宮田 一司
(株)パスコ 公共システム部 システムニ課長  望月貫一郎
松下電工(株) 人事部 技術・人事グループ担当部長  坂本 順一
長岡技術科学大学 経営情報系教授  三上 喜貴