VOS,No.108


 特集:ものづくりの魅力 [Back]

0 化学系のものづくり
化学系のものづくり

牧谷  敦
(材料開発工学専攻2年)

 鉄を始めとする金属が磁石に引き付けられるのは日常経験することと思います。では,高分子や酸化物ではどうでしょうか。これらの物質も非常に弱いながら,磁石から力を受けています。
 近年,超電導磁石の開発が進み,強磁場と呼ばれる磁場を入手できるようになってきました。この磁場の強さは従来の磁石の1000倍に相当し,強力な磁場は材料開発に応用できると考えています。現在のテーマは強磁場により粒子配向セラミックスを作製することです。
 この研究では,どのような条件下で磁化力が効率よく現れるかを検討しなければなりません。そしてその結果をふまえて,強磁場下でセラッミクス粒子を配向させることにより,配向構造が制御された粒子配向セラミックスをつくりだすことができます。このような構造は電気的,機械的特性を著しく向上させると期待されています。
 全く新しい材料開発方法なので,実験装置や測定器は存在しません。そのため,無いものは自分で作り出さなければなりません。試行錯誤し,勉強し,少しずつ進めていくのは気が遠くなるような作業です。しかも,丹誠こめて作った材料が必ずしも良い物性を示してくれるとは限りません。しかし,何度失敗しても,改良・工夫して挑戦し続けることが,材料開発では大事に感じます。
 研究成果を出すのには長い間の苦しい努力が必要ですが,愛情を注いで材料開発に打ち込んでいます。