VOS,No.109

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■蛋白質工学(野中)研究室

キチナーゼA1触媒活性ドメインの結晶(左上)とリボンモデル(中央)
 私達の研究室ではX線結晶構造解析という方法によって生体高分子である蛋白質の立体構造を明らかにし,その構造をもとに機能を解明する研究を行っています。
 主な研究対象はキチン分解酵素であるキチナーゼをはじめとした酵素やガレクチンなどの糖結合蛋白質および発生や分化に関わる各種転写制御因子などです。
 蛋白質が結晶になるということを不思議に思われるかもしれませんが蛋白質濃度,バッファー,塩,沈殿剤,pH,温度などの条件を検討・探索することによってきれいな結晶に成長します(写真はモノクロで非常に残念ですが実際に見てみたい方は研究室にお越しください)。
 蛋白質のX線結晶構造解析では結晶化という作業が最も困難で,結晶化条件のスクリーニングの過程では大量の蛋白質を必要とするので大腸菌などに遺伝子を導入し大量に発現させ精製することや野生型の蛋白質で結晶化しない場合には遺伝子に変異を導入して他のアミノ酸に置換した蛋白質を作製するという分子生物学的なことも行っています。
 結晶にX線を照射して回折データを収集するのですが,ほとんどの測定は大学ではなく放射光施設であるつくば研究学園都市の高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリーか播磨科学公園都市にあるSPring-8で行っています。これらの放射光施設では研究室のX線発生装置の1000倍以上もの高輝度の光が得られるので研究室では1週間〜数日かかる測定が数時間で終わり,研究室では測定できない小さな結晶でも測定することができます。また,波長を自由に変更できるので重原子などの異常分散効果を利用した多波長異常分散法による構造解析も行うことができます。
研究室集合写真(お花見)
(筆者は2段目の左から3人目)
 構造解析により得られた蛋白質の立体構造からは反応機構やDNAや蛋白質,阻害剤,基質との相互作用について生化学的な手法ではわからない様々な情報を得ることが出来,その情報を利用して工業製品や医薬品などに応用される場合もあります。ポストゲノム時代といわれ,その重要性が広く認識されるなかでこのような研究に関われることは私たちにとって幸せであり励みとなっています。現在,研究室には助教授1名,院生9名,学部生2名が在籍しています。全員が男性なのでむさくるしい所もありますが週末には焼肉や鍋をしながらお酒を酌み交わすこともしばしばあり仲がよく明るい研究室です。

(材料工学専攻5年 阪本 泰光)