VOS,No.112

 チャレンジ 大学改革 [Back]

テクノインキュベーションセンターの設置について
小 島   陽
(学長補佐・テクノインキュベーションセンター長・機械系 教授)

1. はじめに
 4月より,本学にテクノインキュベーションセンター(Nagaoka Techno-Incubation Center : NTIC)が発足した。 
 本学は,開学当初から産学共同を大きな柱として運営されてきた。その中核に技術開発センターを置き,産学共同プロジェクト方式による技術開発により多くの技術を産み,社会に貢献してきた。
 しかし,昨今の社会的要請により,大学の技術シーズを元にした学生・教職員によるベンチャービジネスの起業,さらに,大学の持つ知的資産を産業界の一層の活性化と新産業創生のため,社会に適切かつ有機的に還元する必要が生じている。
 以下にNTICの今後の活動目標を紹介する。

2. リエゾン活動
 リエゾンとは,産業界と大学との間を取り持つ連絡役,接着剤の役目であり,産業界の抱える課題(ニーズ)と大学の持つ知的資産(シーズ)とをつなげるものである。
(1) コーディネート活動
   センターには,専属の産学連携コーディネーターである2名の客員教授(小田原勝夫・大重稿二)がいる。また,研究協力課員が,産業界からの技術相談窓口となり,技術相談に適合する教官の紹介,共同研究・受託研究促進のための環境整備等を行なう。
(2) 情報発信・受信活動
   大学が持つ知的資産の調査・整理・発信と企業のニーズの受信・整理などを,新潟県,長岡市,信濃川テクノポリス,長岡技術者協会などとの間に産学連携情報システムネットワークを構築して,一元的に行なう。
(3) 特許出願支援
   科学技術立国を目指す我が国にとっては,産官学で眠っている技術を掘り起こしての特許申請,それを通じた社会に対する知的財産の公開により産業の活性化を図ることが重要である。特許セミナーの開催,特許出願など,特許出願の支援を積極的に行なう。「特許相談の日」を設けて,特許案件をお持ちの先生方や学生の相談を受けることを計画している。
(4) 技術移転活動
   大学の持つ知的資産を情報ネットワークシステムを通して広く公開し,社会還元と利用促進のための支援を行なう。
(5) 学内外広報・啓蒙活動
   技術講演会,シンポジウム,公開講座などの企画立案・推進を行なう。5月には,「長岡ビジネスモデル研究会」(幹事・三上教授)が企業経営者,長岡商工会議所,長岡市職員,長岡技大教官・学生ら30数人の参加で発足した。ビジネスモデルの特許事例や出願ノウハウを磨くなどのための勉強会である。この他に産業界に関心の高い個々のテーマごとに約30の研究交流会を設け,実のある産学交流を図る。
(6) 高等専門学校,近隣諸国等の本学卒業生への支援活動
   高等専門学校の地域交流センター等と本学を卒業した留学生への技術情報支援活動を行なう。

3. キャンパスインキュベーション活動
 在籍する学生が起業を思い立っても,事業化までにはさまざまな現実的課題に直面する。NTICでは学生および若手教官の起業ステップアップを支援する。
(1) 起業家育成・支援活動
   大学の技術シーズを元にした学生・教職員の起業を支援し,また,事業化までのマネージメント教育,マーケティング教育等を手助けする。
 5月に本学化学系の2名の学生が新たにベンチャービジネスを立ち上げている。後に続く学生を期待する。平成15年6月に竣工予定の総合研究棟7階に7.3m
2の専用8ブースを用意し,インキュベーションオフィスとして24時間使用可能とする。
(2) 民間技術移転企業との連携
   本学の知的資産を実現化する外部の新会社の創業を支援する。

4. おわりに
 本センターは,上述したように,大学発のベンチャービジネスの育成と新しい姿の産学交流の構築のために設立され,独法化後の地域の産学研究の中核組織を目指している。
 教職員・学生諸氏の積極的な参画を期待する。