VOS,No.114

 チャレンジ大学改革 [Back]

21世紀COEプログラム
21世紀COEプログラム発足にあたり
小 島   陽 (学長補佐・機械系 教授)

はじめに
 文部科学省が推進する21世紀COE(Center of Excellence:卓越した拠点)プログラムは,我が国の大学の研究水準向上と世界をリードする創造的な人材育成を図ることを目的に,国公私立大学に世界最高水準の研究教育拠点を形成するための重点的支援を行う制度です。各大学からの申請に基づき第三者による審査が行われ,10分野で優れた研究教育拠点が選考されます。平成14年度はそのうち5分野(生命科学,化学・材料科学,情報・電気・電子,人文科学,学際・複合・新領域)の審査が行われ,50大学113拠点が採択されました。
 今年度,長岡技術科学大学は,化学・材料科学分野に「ハイブリッド超機能材料創成と国際拠点形成」というテーマで申請し,採択されました。本学が開学以来,VOSの精神のもと健全な社会の発展に必要な学問技術を創造・構築するとともに,これに携る独創的・指導的な能力のある人物を育成し,かつ開かれた大学として社会に貢献してきた確かな実績に基づく未来への発展性が評価された結果といえます。(VOS:Vitality = 活力, Originality = 独創力, Services = 奉仕 を表す本学のモットーです)
 本学は,21世紀COEプログラムのもとに全学横断的プロジェクトセンターを設置し,先進的材料開発の世界的研究教育拠点を形成します。また,アジア諸国,中南米などの環太平洋地域の大学・研究機関との学術交流をこれまで以上に進め,本学の研究教育拠点を中心に開発途上国の大学への教育・研究協力を強力に推進します。
 ハイブリッド超機能材料という新材料を開発する力,それを産業として広く社会に役立てる力,そしてそれらを実行する人材。この3つが効果的に結びついてこそ,世界最高水準の研究教育拠点であると私達は考えます。これは,本学のモットー「VOS」に他なりません。

ハイブリッド超機能材料創成
 本拠点は,世界をリードしている「金属」,「セラミックス」,「有機材料」の3つの研究グループが協調・相補・複合をキーワードに結集し,互いの特長を活かしたハイブリッド超機能材料の創成を目指しています。これは従来の枠組みには収まらない新たな学問分野「協調機能材料工学」の創成です。この私達の研究から,“従来の材料の長所を活かしつつ欠点を補った新材料”“誰もが想像もしていなかったような全く新しい機能を持った材料”が生み出されるものと期待されます。さらに,実践的な技術開発を主眼にした本学の研究教育体制やベンチャー企業設立等の経験を活かし,単なる新材料開発にとどまらず,新産業の創出をも目指しています。

国際拠点形成
 日本産業界は厳しい国際競争を勝ち抜くために,新しい価値と機能を有する製品の創出,生産拠点の海外移転への対応が求められています。特に生産拠点は東南アジアや中南米諸国に移りつつあり,それらの国々が今後,日本をはじめ世界の産業において重要な位置を占めることは確実です。そこで私達は,東南アジアや中南米諸国に重点を置いたグローバルな研究教育拠点の形成を積極的に推進し,相互の人材育成を行います。そして本学が,当該分野で学術・産業の両面においてリーダーシップを発揮していく礎を築くとともに,パートナーである各国が協調して発展していくことを目指しています。

事業推進研究者およびテーマ
拠点リーダー    
  小島 陽 機械系・教授 拠点形成計画総括
      マグネシウム合金の変形挙動の解析
拠点サブリーダー    
  高田雅介 電気系・教授 光検知式水素センサーの開発
  西口郁三 化学系・教授 超分子型分子集合体の創製と高性能触媒およびデバイス機能の開発
拠点メンバー    
  石崎幸三 機械系・教授 難研削材加工,高能率研削砥石の開発
  五十野善信 化学系・教授 高分子・ゴム材料非線形物性―評価,設計,開発
  植松敬三 化学系・教授 高信頼材料製造における構造評価技術の開発
  鎌土重晴 機械系・助教授 マグネシウム合金のナノスケール組織制御および変形解析
  小松高行 化学系・教授 光機能ナノハイブリッド結晶ガラスの創製
  斎藤秀俊 化学系・助教授 セラミックス電子エミッター材料開発
  武田雅敏 機械系・講師 高エネルギービームによる薄膜・超微粒子作製と応用
  野坂芳雄 化学系・教授 半導体光触媒の開発
  松丸幸司 機械系・助手 非接触インプロセスドレッシング研削加工技術の開発
  丸山久一 環境建設系・教授 鉄筋コンクリート構造の力学特性および耐震性能の研究
  丸山暉彦 環境建設系・教授 高機能(耐水・耐雪)道路構造設計
  宮下幸雄 機械系・助手 レーザーによる異種金属接合法の開発
  武藤睦治 機械系・教授 セラミックス金属間化合物の破壊および疲労
  八井 浄 極限エネルギー密度工学研究センター・教授
      大強度パルスイオンビームによる薄膜・超微粒子作製応用

おわりに
 平成13年6月,文部科学省から「大学の構造改革の方針(遠山プラン)」(いわゆる大学トップ30)構想が発表されてから準備が始まり,「トップ30対応プロジェクト」を発足させるなど紆余曲折を経て,平成14年7月の申請には,学長のリーダーシップのもと,本学では,大学全体で「化学,材料科学」分野一つに絞り計画調書を提出しました。「化学,材料科学」分野では,71大学,82拠点が申請し,一次書面審査を経て,32拠点が9月に東京で行なわれたヒアリングに呼ばれました。その結果,10月1日に15大学,21拠点が採択されました。
 本プログラムの趣旨を踏まえ,世界最高水準の研究教育拠点の形成を目指し,次世代を担う若手研究者を育てて行く計画です。皆様のご支援を頂けますようお願い申し上げます。