VOS,No.114

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■超伝導デバイス(濱崎)研究室 石 田 弘 樹
(エネルギー・環境工学専攻3年)

 我々の研究室では,超伝導トンネル接合の応用研究を行っています。超伝導トンネル接合とは,膜厚10Å程度の極薄の絶縁体(Al2O3,MgO,AlNなど)を超伝導薄膜(Nb,NbNなど)で挟んだサンドイッチ構造型デバイスです。この接合の電流−電圧特性は写真に示すように非常に強い非線形特性を示し,半導体デバイスには見られない特徴,例えば電圧0Vで流れる超伝導電流や,大きなヒステリシス特性等を有しています。
 このデバイスを用いた応用は様々あり,ここですべてを枚挙することはできませんが,代表的なものとしては,地磁気(〜0.3ガウス)の5千万分の1の超微弱な磁気が測定できるSQUID(超伝導量子干渉型デバイス,俗名:イカ)があります。この超高感度SQUID磁束計を用いることで脳磁気を無侵襲で測定でき,現在,てんかんの治療に大きな威力を発揮しています。このような微弱磁気観測用デバイスでは,デバイス自ら発生するノイズを極力抑えることが非常に重要な研究テーマです。
 私は独立法人・通信総合研究所との共同研究としてNbN/MgO/NbNトンネル接合のノイズ特性に関する研究を行っています。NbN/MgO/NbNトンネル接合はNbNの超伝導転移温度が約16KとNb(転移温度約9K)に比べて高いことから,高価な液体ヘリウム(4.2K)を用いて冷却する代わりに,小型冷凍機を用いて動作させることが可能であるという利点があります。しかし,現時点ではNb系トンネル接合に比べるとノイズが若干大きいという問題があります。私は,特に1/fノイズに注目して研究を行っています。1/fノイズの理論は不十分でまだわかっていない点も多々ありますが,これまでの研究から,NbN系トンネル接合の低ノイズ化につながる幾つかの有用な知見を得ています。ノイズの研究は高感度デバイス応用上,最も重要な研究テーマであり,超高感度NbN系SQUIDの実用化を目標に日々頑張って研究しています。
 現在,研究室には,院生7名,学部生3名,研究生1名が在籍しており学部生も含め一人一つの研究テーマを持ち,論文投稿や学会・研究会での発表を目標に研究を行っています。研究室は明るい雰囲気で夜遅くまで実験しているときなどはみんなで夜食を食べに行ったり,週末には週間報告会(週報)の後にバーベキューや鍋を囲んだり,学生生活を楽しんでいます。

研究室集合写真(技大グラウンドにてバーベキュー)
(筆者は前列中央)
エピタキシャル NbN/MgO/NbN トンネル接合の電流-電圧特性(通信総合研究所:川上,王氏作製)