VOS,No.116

 悼 追 / 故 高橋 勲先生を偲んで [Back]

本学の理念を体現された高橋先生
赤 羽 正 志 (電気系長)
 本学電気系教授,高橋勲先生は,平成15年1月13日,交通事故のため急逝されました。突然のことで,未だに信じられない気持ちでいっぱいです。
 先生は昭和53年,本学創設と同時に電気系助教授として着任され,電気系の教育・研究体制の基礎作りに多大な貢献をされるとともに,電気電子システム工学課程主任,同専攻主任など重要な役職を歴任され,平成10年からは技術開発センター長として,本学における産学協同研究の中心的存在でした。最近ではテクノインキュベーションセンタ−の立ち上げにその中心となって尽力されました。
 先生は世界を代表するパワーエレクトロニクスの研究者で,電気学会やIEEE(アメリカ電気電子学会)の要職を数多く歴任され,平成8年にはIEEE Fellowに選ばれています。また,本学御着任以来,本学名誉教授の難波江章先生と共に電気系パワーエレクトロニクス研究グループを立ち上げられ,指導されてきました。現在では,本学電気系パワーエレクトロニクス研究グループは国内のみならず,国外においてもパワーエレクトロニクスの先端的研究組織として有名な存在です。
 先生は高専との連携活動にも熱意をお持ちで,パワーエレクトロニクス分野において,本学と高専教官の研究会を組織されています。おそらく,本学教官の中でも,高専教官にもっとも著名な方のお一人だったのではないでしょうか。
 このように,高橋勲先生は,オリジナリティ溢れる研究をされ,本学における教育研究活動や高専との連携活動,学会活動では精力的に様々な仕事を行っておられました。まさに本学の理念であるVOSの精神を体現された先生だったと思います。
 大学法人化を1年後に控えた今,先生を失ったことは,本学にとって,特に電気系にとって非常に大きな損失です。しかし,いつまでも悲しみに沈んでいるわけにはいきません。残されたものが,本学の発展のために努力することが,高橋先生の御遺志に応える道だと思います。ここに先生の御冥福を心からお祈り申し上げます。

パワーエレクトロニクスの天才 高橋 勲 先生
近 藤 正 示 (電気系 教授)
 祝日の1月13日午後1時ころ,学内に居られた副学長の飯田先生から電話:「高橋先生が交通事故に遭われた。日赤に緊急入院。意識不明・・・」駆けつけた病室前で少し待たされて入室。5分しないうちに医師の死亡宣告,1時58分でした。先生は,普段からお仕事がもの凄く速く,せっかちでした。このときも,あっという間に旅立たれました。
 先生はパワーエレクトロニクス分野の天才です。本学名誉教授の難波江先生が弔辞でご紹介になったIEEE Industry Application Society前会長の Lipo教授のお言葉:「excellentの上はbrilliantであるが,彼(高橋先生)はそのまた上のgeniusである」のとおりです。技大にご着任の直後から「アクティブフィルタ」,「誘導機の直接トルク制御」,「パタン最適化PWMインバータ」などを次々に発表されました。それぞれのご発表の数年後,この分野の研究者が重要性を悟ったときには,すでに実用技術として確立しておられました。これらは,日常目に触れ難いけれど,この分野に携わる者には社会を支える重要な基盤技術であると認知されております。もっと身近には「インバータ蛍光灯」や「インバータエアコン」の実用化も,先生のご貢献の賜物です。
 アイデアの発見方法をお尋ねしました。「表を作って既存のものを整理して桝目に入れる。空いたところを見つけなさい。」作表を一度だけお手伝いさせて戴きました。とても大きな表が出来ました。
 高橋先生,パワー研には卒業がありません。私たちは「先生ならどうするか?」と問い続けます。