VOS,No.117

 私の抱負 [Back]

『ショールーム』にはない学生を育てたい。
岡 崎 正 和
(機械系 助教授)

 『いらっしゃいませ,今日は(今晩は)...』と,元気で若い女性の挨拶を聞いたのは,おそらく数年前のコンビニエンスストアーであったと思う。その際,『元気な挨拶』と思う前に,なんとなく奇異に感じたのは中年親父(家では,“きたない”親父と呼ばれる)の私だけだったろうか。高校時代に国語が嫌いで(というより,苦手で)理科系を目指した私であるから,上の言葉が日本語的に間違いだとは断言はできない。しかし,なんとなく違和感を感じるのである。いうまでもなく『こんにちは』は人と人とが会ったときに使う挨拶言葉であり,一方,『いらっしゃいませ』は,お客さん相手の仕事をする人がお客さんを迎えたときに使う挨拶言葉である。いわば,二回重ねて挨拶していることになる。『いらっしゃいませ』だけにした方が,よほどすっきりして生き生きと感じるのに』と思いつつ,数年もたってしまった。この間,時と場所を変え,何回,上の言葉を聞かされたであろうか。いま,コンビニエンスストアーに入ったとすれば,ほとんど例外なく聞かされるであろうし,支払いの時にはレジで,『...円からお預かりします。xxxxx円からお返しします』と聞かされることになる。『なぜこんなに,同じ挨拶ばかりなの(勿論,挨拶が無いよりはよほど良いだろうが...。)?まるで,店においてある弁当と同じではないか!』。勢いに乗じて言えば,ここで使われている“から”はいったいどんな“から”なのだろうか?さすがに,先日,レジで,『ちょうどからお預かりします』と言われたときには,『ここまで来たか』と思わざるを得なかった。
 そう言えば,多くの人が日本の中心と信じて止まない東京に行けば,かなりの人が同じ色に髪を染め,携帯電話で親指族を演じ,なんとなく同じ言葉使いで話している(もっとも,東京でなくとも同じか...)。『東京はショールームか』と思いたくなるし,これが現代日本の文化の発信地で,皆がそれを追いかけようとしていることを思うと,寂しささえ感じる。
 不思議なことを不思議と感じ,自分らしさを出せる,そんな学生をここで育てたいと思う。


人間性の喪失?
渡 辺 研 司
(経営情報系 助教授)

 私は技科大で初めて常勤の研究・教育者となりました。
 大学卒業後,銀行の支店業務を振り出しに,米国におけるファイナンス業務,システム開発企画など経て,外資系コンサルティング会社にて経営コンサルティングを経験してきました。その間,業務と平行して社内外で人に教えることを始めましたが,今回は勢い余って(?)本学でお世話になることとなりました。私のミッションは,自分自身のビジネス経験に加え,クライアント企業の変革をお手伝いしたノウハウを,これから社会に飛び立つ学生に整理して伝えること,そして,法人化により経営主体とならなければならない本学の改革を,微力ながらお手伝いすることだと考えます。研究分野はIT・システムに関わるリスク・マネジメントが中心となります。IT・システムに過度に依存している現代社会の脆弱性が露呈したような,昨今の事件や事故を見るにつけ,研究意欲が増すと同時に,リスク・マネジメントを商品開発,財務,マーケティング,営業,といった経営の戦略課題のひとつとして定着させる必要があると痛感しております。但し,このような研究を続けていると,IT・システム関連の事件・事故が発生するたびに,関係者を心配するより前に,『よいケース』が発生したと内心ほくそえんでいる自分に気づき,このまま人間性が失われなければ良いが,といらぬ心配をしております。


越境とフロンティア探索としての英語
中 村 善 雄
(語学センター 講師)

 私はこれまで英語教育に従事してきましたが,文学・表象文化も私の研究対象です。この研究を通じて痛感することは,今日さまざまな位相で,越境が惹起されていることです。ナショナリティ,ジェンダー,エスニシティといった枠組みは「トランス」(越境)という接頭辞を戴き,異種混交の様相を呈しています。学問領域においても同様です。「学際的」の名のもと,異種と見られた学問領域同士が手を携え,新しい学問的成果が生じることは往々にしてあることです。
 こうした越境行為を遡ってみますと,アメリカ建国の推進力であったフロンティアにその典型を見て取ることが出来ます。水平軸に展開された,このトランス行為は1890年に消滅しますが,J.F.ケネディが打ち出した,垂直軸に展開されたニュー・フロンティア政策(「アポロ計画」)によって継承されました。今日では方向性を失い,無重力状態と化した情報空間(サイバー・スペース)がポスト・ニューフロンティアを形成し,我々はその中に生きています。
 その状況下で,探索のツールとなるのが英語です。IT空間の伝達媒体で圧倒的シェアを占める英語は我々の探索の推進力であり,また国境や人種の越境に必要不可欠なツールです。こうした状況を踏まえると,英語教育の重要性は自明であり,私なりに英語教育向上に努力したいと考えております。


果たすべき役割
遠 山 正 朗
(経営情報系 助教授)

 私は昨年11月まで千葉県の敬愛大学に勤務をしておりまして,12月に本学に着任いたしました。目下の研究主題は情報通信技術の進化が企業組織に及ぼす影響についてです。こうした研究に基づいて学生の指導をしていくのが私の責務であるというのは言うまでもないことですが,本学と社会との関わり方を見るにつけ,私の果たすべき役割はそこに限定されるものではないのであろうと感じております。
 すなわち,さらなる果たすべき役割の1つとして産学連携への取組みがあろうかと思います。私自身2年ほど前より産学連携による教育・研究を進めてきており,その成果を先頃『ケースに学ぶ企業の文化』,『ケースに学ぶ企業と人材』として出版いたしました。そうした活動を通じ,産業界との連携を今後も持ち続けてまいります。もう1つは高大連携への取組みです。これまでも組織的事業としては「さわやか高等学校推進事業(千葉県教育委員会)」による高大連携講座で,また,個別の高校からの要請等に基づき各高校で講義を行ってまいりました。本学におきましては現在のところ入学者選抜方法研究委員会委員としての高校訪問を予定しております。
 社会に貢献する人材を学内において育成するという基本的役割を果たすのみならず,これまでの経験を生かし今後も継続してそうした社会への貢献ができるよう,今まで以上に尽力してまいります。