VOS,No.117

 特集/知の創造の拠点として [Back]

COE研究室の紹介
小島・鎌土研究室
―ハイブリッド超機能材料マグネシウム合金の開発―
小 島    陽(機械系 教授)
鎌 土 重 晴(機械系 助教授)

1.ピストン用マグネシウム合金基複合材料の開発
 ハイブリッドセラミックス(アルミナ短繊維+ほう酸アルミニウムウィスカー)で強化したマグネシウム合金複合材料を作製し,自動車用ピストンの軽量化を図っている。試作したピストンを図1に示す。
2.カーボンナノファイバーマグネシウム合金基複合材料の開発
  カーボンナノファイバーとマグネシウム合金の複合化技術とその成形加工技術を開発することにより,熱伝導性,強度,剛性,耐摩耗性に優れた航空機,自動車用軽量部品の生産を可能にする。
図1 ハイブリッド複合強化マグネシウム合金製ピストン
3.マグネシウム合金の高性能化
 ECAE加工などによる結晶粒の超微細化,結晶粒の配向性の制御により,室温で成形可能な新たなマグネシウム合金を開発し,異方性を考慮した結晶塑性シミュレーション技術を構築する。

高田研究室
―電子材料セラミックスの研究―
高 田 雅 介(電気系 教授)

 下記の3つのテーマを中心にCOEの研究活動を行っている。
1.ホットスポット現象とその応用(図1)
 高温超伝導体の線材に,電圧を印加するとホットスポット現象(線材の一部分のみが赤熱する現象)が現われることを見出し,現象の解明と,この現象を利用した定電流発生素子,酸素センサ,流速計,超低周波発振素子等の開発を行っている。
2.紫外レーザー用酸化亜鉛結晶の成長制御(図2)
 酸化亜鉛の線材を通電加熱すると,線材表面に多様な形態の結晶が成長することを見出し,次世代DVD技術としてキーになる紫外レーザー用結晶としての可能性を検討している。
3.光検知式水素ガスセンサ
 「光学特性の変化」を利用してガスの検知を行う独創的な新型センサの原理を発見して以来,次世代エネルギーの中心となる水素エネルギーの基盤技術として基礎・開発研究を行っている。

図1 電界で移動するホットスポット
図2 酸化亜鉛結晶

西口研究室
―ハイブリッド超機能材料創成のための
   高性能超分子型有機分子集積材料の開発―
西 口 郁 三(化学系 教授)

 今回のCOEプロジェクトの研究活動の一環として,西口研究室では下記の研究を行っている。
 第1に,異なる芳香環の間にクラウンエーテル環や光学活性補助基を有する,新規フタロシアニン類を合成し,ポリエーテル環のキャビテイ中への種々のゲスト分子との分子認識・光学分割機能を評価する。更に2種の異なる金属を分子内に持つフタロシアニン超分子型分子集積材料(1)を創製し,光・磁気・熱及び電気等の外的刺激による情報処理デバイス機能の開発に取組んでいる。第2に,種々のリン置換基をもつ新規カリックスアーレン誘導体と多くの金属塩化物との分子間相互作用を評価し,特定の置換基を有する誘導体が,AlCl3とSnCl2とだけ高選択的に錯体を形成する事を見出し,これらの有機超分子型金属錯体(2)の触媒・電導機能を検討している。第3に,カリックスハイドロキノン誘導体から出発して,従来全く存在しないテトラシアノカリックスキノジメタンを合成し,種々の電子供与物質との超分子型電荷移動錯体(3)を創製し,超電導・情報処理デバイス機能を探索する。
 最後に,これらの超分子型有機分子集積材料を用いた種々の形状のセラミックスへのコーティング,複合加工やサンドイッチ構造体の創製等により,最終目標のハイブリッド超機能材料の創成を目指す。


国際拠点形成の紹介
石 ア 幸 三(機械系 教授)

 本学の基本理念でもある実学を重んじる技学の姿勢に立ち,将来の日本産業界の動きを見据えた工学研究・教育を行っています。日本産業界は厳しい国際競争を勝ち抜くために,新しい機能と高い価値を有する新機能高付加価値製品の創出,生産拠点の海外移転等の対応が強いられています。特に生産拠点は東南アジアや中南米諸国に移りつつあり,それらの国々が今後,日本を始め世界の産業において重要な位置を占める事は確実です。そこで本COEプログラムでは東南アジアや中南米諸国に重点を置いたグローバルな研究教育拠点の形成を積極的に推進し,相互の人材育成を行います。平成14年度は,若手教官,博士課程学生の研究推進および国内外における積極的な研究活動推進の目的のもとに,述べ74名の学生が本COEプログラムの支援により学会発表を行いました。また,平成15年2月には,長岡に5カ国17名の外国人研究者を招き第1回国際シンポジウムを開催しました。さらに,国際研究教育拠点としてハノイ工科大学内(ヴィエトナム)に本学の海外予科を設立し,学長も含めた相互訪問によりアジア圏の優秀な学生の教育を開始しました。加えて,本学とグアナファト大学(メキシコ)の材料研究者間で研究内容について意見交換し,交換交流協定を締結しました。今後,人的交流も含めた具体的な材料研究交流を図ります。