VOS,No.118

 21世紀COEプログラム [Back]

COE,かく戦えり
21世紀COE 「グリーンエネルギー革命による環境再生」
拠点リーダー 原 田 秀 樹 (環境・建設系 教授)

開口一番,小島先生(当時学長補佐の)から出た言葉は,「図らずも受かってしまった」であった・・・
7月15日,平成15年度の21世紀COEの採択の通知が来た日の夕方,内輪のお祝いの席でのことである。そう,われわれも,まったくゼンゼン期待していなかった結果であった。戦いはじめてから半年後の,まさに晴天の霹靂であった(そう,これはまぎれもなく戦いであった)。
前年の平成14年の12月,突如小島先生が訪ねてこられて,「次年度のCOE申請を用意せよ」との特命を受けた。環境かバイオのテーマで何か考えろ,ということで,バイオなら生物系の福田先生が,循環型社会・環境なら私が拠点リーダーということで考えはじめて,結局学内の関わりが持てそうな面子を見渡しながら,環境というか,グリーンエネルギーという方向でまとまっていった。この時点では,服部(前)学長・小島先生の指令を出した側も,われわれ指令を受けた側も,オリンピック精神「参加することに意義あり」だった。
“まさか”は7月15日に届いた・・・
当初,COEの最終結果は7月初旬に来るはずだった。が,文科省は審査結果の発表をわざわざ国立大学法人化法案の国会通過後の日程にずらした。21世紀COEプログラムとは,文科省の言によると「国際競争力のある世界最高水準の研究教育拠点を推進する」という事業である。が,別の物言いをすれば,法人化という大学大競争時代の幕開けイベントとして文科省が仕組んだ大学序列化の一大パーフォーマンスだった。好むと好まざるとに関わらず全国の圧倒的大多数の大学が生き残りをかけて,このイベントに狂奔させられた。21世紀COEプログラムでは,平成14年度,15年度の2年間で10分野に計1075件の申請がなされ,最終的に246件が選抜された。われわれの提案プログラム「グリーンエネルギー革命による環境再生」は,(学際,複合,新領域)分野に申請された。なお,「グリーンエネルギー」プログラムの内容自体は,別途(次号で)紹介する予定である。
(学際,複合,新領域)分野では,176件の申請から37件が一次(書類)審査を通過してヒアリングに進み,最終的には25件が採択された。競争率からいえば10分野中で最激戦区だった。一次(書類)審査は,競争率5倍の狭き門であったから,正直云って,第1関門突破はまったく期待していなかった。だが,申請書は,作戦を周到に練りながら隅々まで計算しつくして渾身の力を注いで丁寧に作り上げた(つもりである)。ここでは紙面の制限で詳細な勝因分析をする余裕はないが,採択理由には「研究実績は概ね世界水準にあるし,拠点計画,目的の水準も高いと認められる。またリーダーの意欲は高く,・・・途上国が持続的社会の形成を目指して行く上での具体的な手法を提示できる世界的拠点となることが期待出来る。」とあった。われわれの,余所とは違う小粒ながらも光るもの,高専との連携とか海外とくにアジア圏との連携とか,そういうこれまでの地道な活動実績と方向性を評価してくれたことが大きかったと思う。
第一審査の結果到着からヒアリング日までの10日間は文字通り日夜を徹して研究室挙げての総力戦となった。当初は,まあ,ここ(一次審査突破)まで来たんだから,よしとするかという,弱気であったが,日が進むにしたがって,学内のあちこちから,あつい激励をいただいた。とくに法人化の怒濤のなかで真剣な危機意識をもっている一部の事務局の方々から(皮肉にも教官よりも事務系の方々のほうが真摯な意識をもっていた・・)大きなエネルギーをもらった。こうして多くの人から背中を押されながら,ここまできたら矢尽きて刀折れるまで悔いのない戦いをしようじゃないか,という昂揚感にしだいに変遷していった。頭のなかでは,中島みゆきの「地上の星」がガンガン鳴り響いていた10日間だった。
ヒアリングに進んだ37件は,東大・京大をはじめとする実力当確組が目白押しだから,われわれのような寄せ集め弱小チームなど出る幕なしである。2回目の“まさか”は,数字的には3分の2(最終勝ち組25/ヒヤリング進出組37)と,それほどではないが,実質は,無名校が地区予選を奇跡的に勝ち進んでいきなり甲子園出場をはたしたような“まさか”であった。こうして“まさか”が,(書類審査とヒアリングの)ふたつ重なって,大穴となった・・・そして,冒頭の小島先生の第一声となった。まあ,世の中番狂わせがあるから面白いのであって,まさにアラビアのロレンスの名セリフ“Nothing written”である。
文科省は,法人化の反動エネルギーを,この21世紀COE事業によって日本中の大学同士を必死に競わせる逆方向のエネルギーに見事に転化してしまった。これだけ世の中に大きなインパクトを与えて大成功を収めた事業である,これで終らせる筈がない。文科省は,21世紀COEプログラムが終わる5年後には,もっと大きな選別化のための戦いを必ず仕掛けてくる筈である。戦いは始まったばかりである。これからが真価が問われていく。
この戦いで得た教訓をひとつ:「馬券も買わなきゃ当たらない。買うからにゃ当たる買い方をする」・・・申請書は,ともかくダメモト精神で出す,しかし出すからにはリキを入れてインパクトのあるものをつくる。
ヒアリング時のプレゼンは,(こんな)漫画で始めて,漫画で締めくくった。そんなユニークな戦い方をしたのも,おそらくわれわれのチームのみであろう・・