VOS,No.118

 研究室から [Back]

■森川研究室 志 田 洋 介
(情報・制御工学専攻3年)

夏旅行にて
 二年前の初雪の日,大阪から出てきた私にとっては珍しい雪。カメラ付き携帯を片手にふらふらと歩いていた私は,校内の池にうっかり落ちてしまいました。それ以降です。池の周りに柵が設置されたのは。そんな私が所属している研究室は,生物棟3階に位置する夜も奇声の絶えない酵素工学研究室です。
 私たちの研究室では,カビの一種であるTrichoderma reeseiが生産する酵素,セルラーゼについて研究しています。世界中で最も多い資源である植物,その構成成分の60%以上がセルロースであり,グルコースが直鎖状に結合した高分子です。セルラーゼはこのセルロースをグルコースまで分解する酵素です。セルラーゼによって得られたグルコースはそのままでも食品材料になりますし,エタノールに変換することで,化石燃料に代わる新たなエネルギー源となります。これは将来人類が直面するであろう石油資源の枯渇問題を解決するものとして期待されています。
 セルロースを酵素的に分解するためには,セルラーゼそのものを詳しく知る必要があります。そのため,セルラーゼを生産しない宿主(酵母,大腸菌など)にセルラーゼ遺伝子を導入し,生産させることによって大量のセルラーゼを取得し,その性質を分析しています。酵素はタンパク質であり,タンパク質はアミノ酸からなっています。酵素活性に影響を与えるアミノ酸の改変により,さらに強力なセルラーゼを作り出そうという試みも行っています。また,複数のセルラーゼを用いることで得られるセルロース分解の相乗効果についても研究を行っています。
実験中の著者
 また,T. reeseiがセルラーゼを生産するメカニズムについて遺伝子レベルで明らかにしようと試みています。これを明らかにすることで,現在よりも強力なセルラーゼ活性を示すT. reeseiを造成することができる可能性があります。これは私が研究しているテーマでもあります。この研究室に所属して,カビを扱うようになってから,下宿に大量のカビが発生するようになったのは気のせいでしょうか。
 「セルロースから化石資源に代わる新たなエネルギーを」この目標に向かって私たちの研究室では森川教授の指導のもと,日夜研究に励んでおります。