VOS,No.118

 副学長就任・退任あいさつ [Back]

副学長就任に際して
長岡技術科学大学副学長
(研究担当)
丸 山 久 一

 昭和54年2月に再び長岡の地を踏み,よく分からないままに教育と研究の世界に飛び込みました。以来24年,教室での講義,研究室での学生との議論,学会や地域における委員会活動等を通して,この世界で何を為すべきかが多少理解できるようになったと思っておりました。
 このたび図らずも副学長(研究担当)を拝命しまして,24年前に赴任した当時の心持ちを思い出しています。窓の外は青々とした田が東山の麓まで広がり,守門岳や越後三山は青い空に眩しいほど白く輝いていて,まさに青春そのものでした。
 これからは慣れ親しんだ教育・研究の仕事から大学の運営にと主たる業務が変わるので,多少の不安はあります。ただ,新たな分野に挑戦するということでは,24年前と同じフレッシュな気持ちになっています。
 国立大学は,皆様もご承知のように,来年4月から国立大学法人となります。単に“法人”が付いただけのように見えますが,大学の組織および経営方法は大きく変わると思われます。過去50年以上に渡り「学問の独立,大学の自治」の名の下に,あの学園紛争があっても本質的に変わることがなかった国立大学が変わりそうです。10年前に記録した200万人を超える受験期の学生数が十数年後には6割の120万人に減少します。社会は飽食の時代となっていて,高等教育にかける夢が失われつつあります。それに追い討ちをかけるかのように景気が長期間にわたって低迷しており,人々の国立大学に対する期待,価値観に変化をもたらしてきています。
 “法人”になるということは,ある意味で,国の厚い庇護の下から自立することです。文部科学省が示しているキーワードの一つ「事前規制から事後評価」は,そのことを端的に述べています。今後の進むべき方向について国の指示(規制)を伺うのではなく,各大学が独自に考え,行動に移すことが強く求められるのです。そして,その結果について評価を受けることになります。よい結果が残せれば高い評価につながり,さらに飛躍が図られます。勿論,その逆になる可能性もあります。よい結果を残すためには,学長の強いリーダーシップの下に教職員が一丸となって対処する必要があることは言うまでもありません。
 幸い,本学は昨年,今年と2年続けてCOEプログラムが採択され,その上,教育COEも今年採択されました。スタッフの研究能力の高さが十分評価されているとともに,教職員で作り上げてきた教育プログラムについても独創性が認められたことになります。このことは,大学の使命である教育・研究の能力において,本学は未来に向けて十分なポテンシャルがあることを示しています。
 “法人”のもう一つのキーワードは,「機能的なマネジメント」です。財政・人事面において大学の裁量権は拡大しますが,結果に対する責任も重くなり,組織としてのマネジメントの力量が問われます。来年4月の法人化に伴い,種々の作業が増えること
は確実です。しかし,変革の目的は大学の使命(教育・研究)をより高く達成させることにあります。その観点を忘れずに,小島学長を補佐し,教職員の皆様と一丸となって本学がより一層発展するよう職務に励みたいと思っています。


副学長退任にあたって
前長岡技術科学大学副学長
(研究担当)
飯 田 誠 之

 4年間の仕事を総括すると各種の自己点検評価と対応する(1)外部からの意見を今後に生かす学内的な仕掛け作り,また(2)今後の発展のための外部との連携にかかる仕事や仕掛け作りに時間と労力を費やした。副学長就任前にまとめた大学としては初めての外部評価を念頭にした自己点検評価報告書の作成が4年間を通じいろんな仕事を進める基礎になった感が強い。本学を巣立ち社会人として活躍中の修士修了生に実務訓練経験を含み在学時の教育効果を問うたアンケート及び採用機関へのアンケートは,自己点検評価の手法としては当時としては斬新なものであったと思う。副学長就任時に,学内の意見は学長につなぎ,外部の意見は学内につなぎ,本学を未来につなぐ手伝いができるよう努力をしたい旨VOSに記したが,そのような姿勢を貫いたつもりである。
 (1)直接的な外部からの意見は平成12年に開催の外部評価シンポジウムが最初であった。この記録を踏まえて平成12年度と13年度に開催の運営諮問会議は今後の教育のあり方を諮問したものであったが,この大学のユニークな特徴を生かした上で高専との関係を重視した今後を考えよとの答申を頂いた。また,12年度から大学評価学位授与機構による分野別評価の試行が始まったが,実際に統計的数値を正確に把握して自己評価する作業は担当事務局や先生方に相当な負担を強いるものであった。評価結果を法人化後の運営費交付金の配分に反映させようとするのであれば,当事者の間で評価の実施項目や手法について十分な合意形成が必要であるとの認識がある。
 自己点検作業を通じて認識した事項や分野別教育評価「工学系」や「教養教育」などで機構側からの指摘事項について,改善を図るよう教務委員会の下に全学カリキュラム責任体制部会を整えた。この部会では,学生による授業評価の方策や様式を決め,JABEE対応部会と共同作業で各学科のJABEE対応を容易にし教養科目設定方針の明確化と基礎学力の確保の両立を図るカリキュラム改定をも行った。
 (2)外部との連携に関する事項では予算的裏づけを得ることに成功した県内3国立大学地域貢献推薦事業,地域連携と産学連携の両者に資する新潟県大学連合知財本部設置など県内他大学と一緒の作業も行った。技大にとり一層重要なのは高専との連携関係であろう。これについては法人化後の中期計画・目標案の取り纏めでも心を配った。高専・技大技術者教育等連携協議会での意見交換をもとに,本学提案の専攻科を持つ高専との連携大学院構想の議論が進んでいる。退任後も外国(仏,独)での企業等との連携高等教育プログラム調査を行う宿題を仰せつかったが,これは上述の連携大学院構想にも関係し,新たな高等技術教育プログラムの構築を通じ高専・技大ルートの今後の発展に資すればと思っている。
 最後の仕事となったが,全学事業として応募した実務訓練を柱に据えた教育COE(COL,Center of Learningと言うらしい)プログラムの採択内定通知が最後の勤務日(9月12日)に届いたことも忘れがたい思い出になろう。成果のあがることを念じたい。
 最後になったが,会議で辛抱強い議論を重ねてくれた先生方と面倒な資料の作成に時間を問わず協力してくれた関係事務局職員に深甚の謝意を表したい。先生方の研究教育両面でのご健闘・ご活躍と長岡技大の益々の発展を願って退任の挨拶に代えたい。