VOS,No.121

 模擬国連に参加した有志11人 [Back]

Harvard National Model United Nations 2004:
模擬国連に参加した有志11人
近 藤 正 則
(機械システム工学専攻2年)
会議場風景
他大学の学生と
閉会式の様子
会議終了後の全体写真

 2004年2月12日から15日にかけて米国・ボストンで開催されたHarvard National Model United Nations (HNMUN) 2004:ハーバード模擬国連に,長岡技術科学大学生有志11名が参加した。
 HNMUNは世界で最も歴史があり,かつ最大規模の最も名高い模擬国連である。毎年,世界中の大学から2000名近くの学生ならびに指導員を集め,全ての参加者に国際舞台での交渉を可能とさせてくれる。HNMUNはこのような素晴らしい機会を与えてくれる場である。参加者はほとんど米国内の大学からであり,誰もが知っている名高い大学ばかりである。例えば,Massachusetts Institute of Technology,Brown University,Yale University,Columbia University,University of Pennsylvaniaなどである。つまり,参加者の大半が英語を母国語とする者であり,私達が “英語”に苦慮することは,会議前から重々承知の上でのことだった。
 では,なぜそこまで苦労して私達がこの会議に参加したのか?やはり,自分自身に何か欠如している部分を,自ら探し,自ら考え判断し,自ら行動して,自分自身を教育し,向上させたいと誰もが考えていたからではないだろうか。誰もがこのような経験を学内ではすることができないときちんと認識し,それに対して腹をたてて,何かしらのストレスを自分の中に溜め込んでいたからではないだろうか。しかし,これを実際に実行することは全く容易ではない。かなりの時間と労力,それに強靭な精神力と体力を要する。何か新しいことは始めるには莫大なエネルギーが要る。このエネルギーを費やして,自分のやってきたことや考えてきたこと,経験してきたことは自分の血となり肉となり,またこのような文章となり,他人にこの熱い思いを伝えることができる。参加したからには,能書きを垂れているなどとは言わせず,やってきたことに関してはきちんと言いたいことを伝えていきたいと思う。
 私達11名はウクライナの大使として会議に参加した。セッション中に各自の委員会で議論される問題に対する我が国の立場を的確に表明するために,リサーチと議論を英語で行なってきた。また,それと並行して,広報活動や募金活動にも,自分らの知識・教養の欠如を痛感しながらも,努力を重ね,その準備に従事してきた。私達に与えられた課題は正真正銘の問題であり,決して容易なものではなかった。なぜならば,実際に世界が直面している問題だからである。これらの問題を解決するべく,私達は他国の大使と議論を重ね,創造的な解決策である決議案まで到達することができた。
 このように書いてしまうと,案外楽に4日間を終えてしまったように聞こえるが,実際は全くそうではなかった。現実はそんなに甘くは無かった。4日間,英語英語英語,コーカスコーカスコーカス(非公式討議)でサンドバッグのようにボコボコに打ちのめされた。彼らの大半は1,2年生にもかかわらず,頭が相当に切れる。さすがエリートといった感があった。その上,スピーチや議論に慣れているというか訓練されている。そのような彼らに英語でマシンガンのようにしゃべられた際には,もうお手上げだった。ただただ圧倒されるばかりであった。
 地球広場で私達チームの初めての公での活動をした際に,国連で働いておられる方から “3S”という話を聞くことができた。これは何かというと,“Sleeping”,“Smile”,“Silence”の略であり,国際会議に参加している日本人が実行している3つの行動パターンである。技大チームにはさすがに最初の2つは当てはまらないが,最後の1つである“沈黙”はかなりの部分で当てはまっていたように思う。相手が的外れのことを主張していても,あのマシンガンスピーチで必然的に黙ってしまった技大生。これほど悔しい思いをして,自分自身に腹が立ったことは初めてであった。
 「グローバル化するビジネス界。日本国内だけでなく,欧米や中国に企業が進出するのは当たり前。そんな時代のビジネスマンに求められるのが語学力。実用英語技能検定1・2級またはTOEICの730点以上であれば,企業の人事も一応英語ができると認め,海外赴任が可能。」という台詞を良く耳にするが,本当だろうかと疑いたくなる。私達のチーム内にも700点,800点を越すスコアを持つ人間が数人いるが,会議では全く歯が立たなかった。TOEIC990点持っていたら,アメリカ人との昼食時における政治談義に参加できるか?パーティーの際に美人に声をかけ,ジョークの1つでも言うことができるか?何が私達に欠けているのか?このもどかしさ,悔しさとこの自分自身に対するムカツキが,今回の会議に参加して得た一番の収穫ではないだろうか。
 最後にHarvard National Model United Nations 2004 Nagaoka Gidai Delegationの素晴らしいチームメイト,私達を指導してくれたCarolina Brea,指導教官である三上教授,栄教授,募金活動を支援してくださった長岡商工会議所の皆様方,募金をしてくださった皆様方,そして多くの支援してくださった皆様方にここに謹んで感謝の意を表します。

追伸
 長岡技術科学大学と関係の深いベネズエラからは5大学もHNMUNに出場した。その中でも協定関係にあるUniversidad Simom Bolivarは常連校であり,数々の賞を総嘗めにした。特にインターナショナルスクール部門で優秀賞を獲得したことは輝かしいことである。Universidad Simom BolivarではHNMUN活動が盛んであるということをいったい何人の技大生が知っているだろうか。