新着情報

平成22年度学部卒業式・大学院修了式を行いました。

2011.3.28

 平成23年3月25日(金)に長岡市立劇場で平成22年度学部卒業式・大学院修了式を挙行しました。

 式の冒頭で、このたびの東北地方太平洋沖地震で犠牲となられた方々への黙とうが捧げられました。

 今年度の学部卒業者は444名、大学院修士課程修了者は424名、専門職学位課程修了者は13名、博士後期課程修了者は19名、論文博士を授与された者は3名でした。
 また、学生表彰が行われ、学業・研究活動においては23名に、課外活動・社会活動においては2団体1個人に新原学長より賞状及び記念品が手渡されました。

 学長告辞は次のとおりです。

 平成22年度長岡技術科学大学の卒業式・修了式を挙行するにあたり、この困難な状況下にも係わらずご臨席いただいている長岡商工会議所副会頭の大原興一様、長岡高専副校長の山田隆一様、本学名誉教授の先生方、同窓会会長の磯部広信様に心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 本日、長岡技術科学大学を卒業・修了され学士・修士・博士の学位を獲得した諸君に心からのお祝いを申し上げます。また、今日まで諸君を長年にわたり慈しみ育ててこられた保護者の皆様に、お礼とともにお祝いを申し上げます。

 留学生諸君は、家族と遠く離れ、言葉も習慣や文化も、そして気候も大きく異なるこの長岡の地における生活、厳しい勉学と研究において様々な苦労があったと思います。この環境変化を力強く乗り越えた諸君の長きにわたる努力とチャレンジ精神に敬意を表すとともに、今後も更に研鑽を積み重ねて、長岡で学んだ「ものづくり技術」の心とそれを支えてきた日本文化に根ざした「人づくり」の心を生かして、力強いリーダーとして世界の技術科学の発展のために尽力されることを強く願っています。

 最初に、この3月11日に発生した巨大な地震と津波の犠牲になられた多くの方々のご冥福をお祈りするとともに、災害にあわれた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。本学も288名の学生が被災地域の出身者でしたので、心配しましたが幸いなことに全員無事の確認が取れています。また、本学と緊密な関係のある被災地域の4高専とも連絡を取り、物資を運ぶなど支援を始めていますが、長岡の2度の地震被災の経験から見ても、被災地の皆様におかれましては、未だ復興への設計図を描くことが出来ない方も多数おられるかと存じます。本学は被災された皆様方の復興に最大限のご協力をさせていただきたいと思っております。

 今回の甚大な災害で改めて、私たちは全ての未来を予測することは不可能だということを痛感しました。しかし、私たち研究者・技術者は未来を創造することが出来ます。今こそ、この戦後最大の災害を乗り越えられるよう、私たちは力を結集し、今まで以上に勇気を持って前を向き、被災された方々の多様な要望に応えるためにも、また世界の日本への期待に応えるためにも、皆様と一緒に一歩も止まることなく、新しい日本の未来を創造するために邁進したいと決意しています。皆様方のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

 日本は現在、急激な少子高齢化、厳しい経済状況と産業構造の変化に遭遇しており、この3月に卒業する全学生の就職内定率は80%以下で、調査が始まった平成8年以降で過去最低だった昨年を更に下回るとの報告が有ります。また、この2月に日本のGDPは中国に抜かれ世界3位に後退したことも記憶に新しいところです。この様な情況下でも、我が長岡技術科学大学は昨年に引き続き今年も就職を希望する学生のほぼ全員が希望を達成し、今年も日本の全大学の中でナンバーワンの地位を例年通りに維持したと考えています。この素晴らしい成果を本学が得つづけているのは、開学当初からの本学の理念と他大学では不可能な長期の実務訓練の成果が広く産業界等から信頼を得ているからと思います。本学で学び研究してきた諸君は、自信を持って未来に向けて進んで頂きたいと思います。

 大学は常に未来を視ており、大学での教育の目的は、学生諸君が卒業・修了後も自己の無限の可能性を信じ、夢と希望とチャレンジ精神を持って、持続的に活躍・発展し、社会の中心となる20~30年後に、その能力を最大限に開花させる為の基礎を創り上げるのを支援する事に有ります。皆さんが努力して学び創り上げてきた、この基礎を真に実のあるものとするためには、今後も常に先の先を視る努力を継続する必要が有ります。先の先を見る為には、即ち、加速度的に変化する未来社会で悠々と生きていくためには、日頃からの努力に加え、自分を取り巻く全ての人を愛し嫌いにならない志が重要です。人を嫌いになることは、本来その人から得られる筈の有益な情報や意見を自分から捨て去ることを意味するからです。全ての人を好きになり、嫌いな人を作らない姿勢は、一緒に歩み努力できる大きな人的ネットワークを創ることに繋がります。

 また、諸君が多くの方々に尊敬される「かけがえのない人」になる為には、人の成果を妬むことなく、人の素晴らしい成果は率直に認めて賞賛し、自分は自分の目標を目指して道を進むことが必要です。人と同じことをしていては駄目です。また自分の無限の可能性を信じ、思い込みで設定してしまう自分の限界を突破する努力が必要です。人間には限界はありません。自己の目標を考える時には、自分の損得のみではなく、諦めようとする気を起さないためにも、より次元の高いものに設定すべきです。ただし、大きな目標を掲げても、日々の活動では、地味で単純な活動を繰り返さなければなりません。自分の夢と現実の間に大きなギャップがあり、思い悩むことがあると思いますが、その時は成功するまで決して諦めない志が必要です。執念で努力を続けることによって、初めてすばらしい結果を得ることができます。それでも問題解決ができない時には、あきらめずに素直に何度でも問題に向き合い、苦しみ抜いて、その問題を潜在意識に浸透させ、その解決法が思いもしない時に閃くように潜在意識下で考え続けることが必要です。私の経験によると、夜通し仕事をし「ぼんやり」している時に、難しい問題を解決するアイディアが閃めくことがあります。また、考え続けて10年以上も後に解決策が見つかったことも有ります。友人や先生方に率直に相談することも大切です。大学で一緒に苦労した友達は勿論のこと、先生方も卒業・修了後も諸君の事を何時も見守っています。この様な姿勢で常に前に進むことにより、諸君は「かけがえのない、尊敬される人」に成長すると私は信じます。

 私が、学長に就任した日(平成21年9月16日)は、政権が変わった日で、その日を境に国立大学を取り巻く環境は一変し、非常に厳しい状況が続いています。特に文教関連や科学技術に関する予算については、諸君もご存知のように厳しい仕分けが行われました。平成23年度予算に関連した要望活動では、諸君にもパブリックコメントへ積極的に参加してもらったお陰で、国立大学への来年度予算の大幅な減額は避けることができました。しかしながら、日本が直面している急激な少子高齢化や国の経済状況とも関係し、今後、国立大学や国の研究機関の整理統合が計画される可能性も有り本学においても、他の大学や研究機関にはない多様な宝を積極的に内外にアピールする必要性があります。諸君は本日、本学を巣立って行きますが、本学で学び研究し、そして生活したことを終生の誇りとし、自分の財産としてください。そして本学の宝となり、本学を支える一員になっていただきたく思います。

 昨年、本学の環境・建設系の先生から教えてもらった言葉に「不進則退」という言葉があります。この言葉を直訳すると「進まざれば、すなわち退く」となりますが、この言葉は、「何事にもこれで成就したとか、やり遂げたと思ってしまえば、もうそこから後退や衰退しかありません。目標の達成を完成点や到達点にするのではなく、それを通過点に過ぎないと考えて、常に努力を重ねなければならない。」という深い意味のある格言です。

 また、私からは、諸君に「3つのi(愛)の心」と「全ての人を好きになる愛の心」の2つの言葉を贈りたいと思います。Intuition(閃き)、Invention(発見・発明)、Innovation(技術革新)の3つのi(愛)の心は、「困難や失敗の中から革新的な成果を創造する心です。容易に得られる情報を身につけるだけでは単なる博学でしかなく、この心は養われません。どのような厳しい環境をも、またどのような人をも、自分から好きになろうと努力することで養われる心です。ですから、誰もが持つことができます。」この「3つのi(愛)の心」と「全ての人を好きになる愛の心」が、これからのグローバルな社会、言葉をかえると勝ち組みが全てを取るデジタル社会において生じる様々な壁と格差を打ち破っていくために最も必要とされる力、すなわち自分の限界にチャレンジし、それを突破する力を育てると私は信じています。

 最後に、本日、卒業そして修了し社会に羽ばたかれる諸君に、「誰かが何時も諸君を見守り続けています」、即ち長岡技術科学大学の教職員そして学長は、諸君の活躍はもちろんのこと、重大な局面に遭遇した時でも何時も諸君を見守り続けていると伝えたいと思います。それを信じて、常に未来を見続け、自分の力を信じてチャレンジし、努力を積み重ねて大きな成功を収めてください。

 加えて、今日卒業・修了し社会に羽ばたかれる諸君には、今回の未曾有の災害からの復興に関して日本国民として重大な使命を果たすことが求められている事を各自が自覚し、本学で習得した実践的技術者魂を発揮し、その責務を果たされることを期待します。大学院へ進学する諸君には、今回の未曾有の災害に関して社会が今、大学に何を望み、また、自分達の立場で何ができるかを常に考え、日本の新たな未来に向けて邁進して頂きたいと思います。

 本日は、卒業そして修了おめでとうございます。