新着情報

平成29年度学部卒業式・大学院修了式を挙行しました。

2018.03.27

 平成30年3月26日(月)にハイブ長岡で平成29年度学部卒業式・大学院修了式を挙行しました。

 今年度の学部卒業者は491名、大学院修士課程修了者は378名、専門職学位課程修了者は17名、博士後期課程修了者は25名、論文博士の学位を授与された者は2名でした。

 また、学生表彰が行われ、学業・研究活動においては23名に、課外活動・社会活動においては1団体と1名に東学長より賞状及び記念品が手渡されました。

 学長告辞は次のとおりです。

【学長告辞】

 本日ここに学士の学位を授与された491名、修士の学位を授与された378名、専門職の学位を授与された17名、博士の学位を授与された27名、合計で913名の皆さん、誠におめでとうございます。この中には65名の留学生が含まれています。皆さんの長年の研鑽と、その成果に敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。併せて、長年にわたって皆さんを支え、見守ってこられた、ご家族の方々に、心よりお礼とお祝いを申し上げます。

 留学生の皆さんは、故国を遠く離れ、言語・文化の異なるところでの、生活、学習には大きな苦労があったことと思います。幾多の困難を乗り越えて、今日の日を迎えられましたことに敬意を表します。

 国内はもとより、広く海外の地から集まった、文化の異なる多くの人たちと出会い、ともに語り、時にはぶつかり合って過ごしたこの数年は、皆さんの精神に大きな成長を促した時期であり、そこで得た友人は、皆さんのこれからの人生で、かけがえのない財産となります。そしてこの長岡の地は、青春期の故郷として、皆さんの心に長くとどまることと思います。

 本学では、国内外の企業等で、幅広い視野からの総合的な実践的技術力を養う、約5か月間の「実務訓練」を開学以来実施し、これまでに1万人以上の卒業生・修了生を社会に送り出し、日本の産業の発展に大きく貢献してきました。皆さんは、他大学に例を見ない、独自の教育システムを持つこの大学で、高度な教育を受け、実践の現場での学びの過程を通して、「考える力」を育んできました。自ら研鑚に励んだ皆さんは、大きな自負と誇りを持って、新しい世界に臨んでください。大学で皆さんが獲得した大きな力は、専門的な知識や技能だけでなく、「考える力」です。考える力を身につけるための訓練を、皆さんは大学で続けてきました。これからも、徹底的に考える努力を続けることが何よりも重要です。社会で通用している既存の価値や諸前提を疑い、根本的に考え直すことで、新しい知識と富を獲得します。これが創造性であり、技術科学の分野ではイノベーションに繋がります。

 さて、近年の急速なグローバル化の中で、日本の国際競争力がこの20年間で大幅に低下し、その原因の一つとして、グローバル人材の不足が指摘されています。今や日本は、国際社会における生き残りをかけて、国際競争力を身に着けることが急務となり、日本企業は、より高度なグローバル人材を必要とする時代になっています。英語ができても、必ずしもグローバル人材ではありません。コミュニケーションの道具としての英語と、日本人の国際化は全く別であります。

 これから社会に出る日本人の皆さんは、グローバル人材として海外に出て行き、大いに期待されることになりますが、これは、大きな壁にぶつかることにもなります。この壁を乗り越えなければなりません。明治の開国以来、西洋文明を取り入れ、日本人の生活様式は西洋化してきましたが、150年たった今も、日本人の行動様式は、基本的にほとんど変わっていないと言われています。この壁を乗り越えるには、まずは、日本文化と西洋文化の違いをよく理解する必要があります。日本は数多くある国々の中でも、極めて異質な文化の国の一つです。

 新渡戸稲造は、日本人の精神的土壌となっているのが、武士道であることに気づき、外国人に日本人を正しく理解してもらうため、1899年にアメリカで「Bushido, The soul of Japan」を出版しました。当時はたちまち反響を呼び、フランス語、スペイン語など各国の言語にも訳されたほどです。武士道は仏教、神道、儒教の影響を受け、数百年にわたる日本の歴史の中で、武士の生き方として醸成され発達し、武士階級のみならず、その後の日本人全体の道徳的規範となったものです。

 この武士道から生まれた日本の文化の特徴は、個人よりも集団の利益や目標を優先し、連帯感を重視すること、年長者を敬い、縦の上下関係を重視すること、周りとの調和を重視することなどにあります。そして、「以心伝心」や「言外の意味」という言葉があるように、日本文化では、コミュニケーションは、言葉だけでなく、言葉以外の様々な情報から発信され、それを読み取る能力が要求されます。小さなころから他人の目を意識させ、周りとの調和を大切にすることで、社会性を身に着けさせる。そして、その場の調和を乱さないために、ストレートに自分の考えを言うことを控え、場の雰囲気や表情などから、相手の気持ちを察して、コミュニケーションを取るといった、高度に発達した和の文化です。しかし、同じ文化を共有しない外国の人々とのコミュニケーションでは、これらは通用しません。

 人間関係の維持と調和を守ることを優先し、自分の意見を主張することを控えることを美徳とする価値観を共有する日本人が、自分の意見を主張したり、闘わせたりしなければならない、欧米型のコミュケーションに、違和感や苦手意識を持つのは自然なことです。これから社会に出て、グローバルに活躍する皆さんが、真の国際人として通用するには、このような日本の文化の特徴や価値観を良く知ることが重要です。そして欧米との文化の違いを良く知ったうえで、外国の異文化に接して、その国の文化を良く理解し、また自らが国際社会の中で理解され、堂々と渡り合っていって欲しいと思います。

 アジアには、自然と人間、人間と人間の調和を重視する東洋思想の考え方が基礎にあります。自然と調和しながら、「本当の豊かさとは何か」を常に考え、科学技術を確実に進めていくということが、今後は一層重要となると思います。グローバルな視点で見た時、それぞれの地域、国の歴史・文化を学び、それぞれにとっての「ゆとりと豊かさ」とは何かを考え、真の「生活水準」を上げるための「技術科学」の貢献を考える必要があります。

 長岡技術科学大学は、人類の課題を解決する高度な技学力と豊かな人間性を持ち、未踏領域・未踏分野に挑戦し、技術イノベーションを興せるタフなグローバル技術者の育成を目指しています。中南米、アジア、欧州、アフリカなどの海外拠点校と協働して産学官融合キャンパスを構築し、グローバルに活躍する技術者・研究者の育成と研究開発・新産業創出を世界規模で行う事業を進めてまいります。卒業・修了して社会で活躍される皆さんは、これで長岡技術科学大学と別れるのではありません。明日からはOB、OGとして本学を応援し、また積極的に活用してください。長岡技術科学大学は、皆さんをこれからもずっと応援し続けます。

 最後に、皆さんが、夢と志と勇気をもって、グローバルに活躍されることを祈念し、お祝いの言葉といたします。