河原成元准教授がアメリカ化学会Sparks-Thomas賞を受賞しました。
更新日:2014年4月17日
物質・材料系 河原成元准教授が、アメリカ化学会 Sparks-Thomas賞を受賞しました。この賞は、エラストマーの科学および技術の分野で顕著な業績を残し、新分野の開拓と独創的概念の創出に重要な役割を果たし、その技術的インパクトが絶大であった創造的若手研究者に授与されます(申請書提出時の年齢は47歳以下)。受賞の対象となった成果は、「天然ゴムのナノマトリックス構造の発見とその物性との関係の解明」です。
天然ゴムは平均直径約1μmのゴム粒子が水に分散したラテックスとしてパラゴムの樹(Hevea brasiliensis)から産出されます。ゴム粒子の表面には非ゴム成分が厚さ約10nmの層を形成しているため,ラテックスを凝固することにより得られる天然ゴムは厚さ数10nmの非ゴム成分のマトリックス(ナノマトリックス)に平均直径約1μmのゴム粒子が分散したナノマトリックス構造を形成していると考えられます。この仮説に基づき,タンパク質をリンタングステン酸で染色してから,天然ゴムのモルフォロジーを透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した結果,TEMイメージには非ゴム成分のナノマトリックスが示されました。天然ゴムの物性は,タンパク質を完全に除去してナノマトリックスを消失させることにより合成ゴム程度に低下し,タンパク質の量を増やしてナノマトリックスを厚くすることにより向上しました。この物性におけるナノマトリックスの効果をモデル化合物を用いて確認し,非ゴム成分のナノマトリックスは天然ゴムの優れた物性に重要な役割を果たしていることを実証しました。これにより,天然ゴムは、約95%のゴム炭化水素と約5%の非ゴム成分が複雑な階層構造(ナノマトリックス構造)を形成した不均一材料であることが明らかとなりました。
表彰を受ける河原准教授(中央)
Sparks-Thomas Award 賞状
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