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河原成元 教授が2021年度高分子学会賞(科学)を受賞しました。

更新日:2022年6月22日

物質生物系 河原 成元教授が、2021年度高分子学会賞(科学)を受賞しました。

受賞の対象となった研究題目は、「天然ゴムのナノ海島構造の発見とその応用」です。本賞は、我が国の高分子科学および技術の進歩をはかるため、高分子科学、技術に関する独創的かつ優れた業績を挙げた人物に授与されるものです。受賞講演は、第71回高分子学会年次大会の会期中、2022年5月27日(金曜)にオンラインで行われました。

【受賞内容の概要】
天然ゴムと同等の物性を示すゴムを合成することは、高分子科学の草創期から現在まで、長年にわたる重要な研究課題です。とりわけ、ポリイソプレンは、cis-1,4-イソプレン単位の含有率を天然ゴムに近づけることが目標になっており、多様な化学的アプローチにより合成する検討が行われています。しかしながら、cis-1,4-イソプレン単位の含有率が99.9%以上になった現在においても、合成ポリイソプレンの物性は天然ゴムよりも劣っているため、飛行機、トラック、バス等のheavy-duty用途のタイヤは未だに天然ゴムから製造されています。この状況を打開するためには、天然ゴムの構造をこれまでとは異なる視点から正確に解析し、物性に影響を及ぼす因子を解明する必要があります。
河原教授は、高分子多成分系のナノ構造構築および天然ゴムの生合成機構に基づく洞察により、天然ゴムがcis-1,4-ポリイソプレン、タンパク質および脂質等から成るナノ海島構造を形成していることを発見し、物性におけるその動作原理を解明してから、合成ポリイソプレンにナノ海島構造を形成することにより天然ゴムと同等の物性を示す合成ゴムを創製しました。
その業績は国内外で高く評価されており、高分子学会賞(科学)に値するものと認められました。

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