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国連アカデミック・インパクト2022アクティビティリポート

更新日:2023年3月20日

UNAIの10原則の少なくとも1つ、および/または持続可能な開発目標の1つ以上に取り組む活動やプロジェクトについて

長岡技術科学大学は国連アカデミック・インパクトの活動に賛同し、10原則のうち特に4、5、9の3つの原則を支持する。本学は原則9に強くコミットし、SDGsの達成に貢献する。
SDG9(強靭なインフラの構築、包摂的で持続可能な産業化の促進、イノベーションの促進)に対するUNAIハブの重要な責任を認識し、SDGsとSDG9の統合目標を達成するために、以下の3項目の活動やプロジェクトを実施した。

1.高等教育機関間の連携及び教育機関と国連との連携の促進

取組概要
ユニツインネットワーク「GIGAKU SDG Network 」申請採用

本学が中心となって申請した「技学SDGネットワーク(GIGAKU SDG Network)」が「The UNITWIN Network for Engineering Education towards Sustainable Pathways」としてユニツインネットワークに認定された。このネットワークは、SDGs貢献と実践的技術者育成の理念に賛同した6か国9機関のメンバー及びオブザーバーの企業とで形成され、工学教育の発展と、社会に貢献できるイノベーションを興す研究・技術開発を推進する。

国際会議7th STI-Gigakuの開催

本学は11月18-19日に、国際会議「The 7th International Conference on “Science of Technology Innovation” 2022(7th STI-Gigaku 2022)」をハイブリッド形式により開催した。SDGsの解決につながる活動や研究成果を、ターゲットとするSDGsの番号を示して発表を行ったリサーチプレゼンテーションには、国内外から150件を超える発表と8か国から300人を超える参加があり、優秀発表者には企業冠賞が贈られた。また、高専生を対象とした本学学生との座談会「GIGAKU Talk」では、専攻や出身の異なる本学学生との有意義な意見交換が行われた。本国際会議はSDGs達成に向けた重要な研究交流の機会となった。

UNAI SDGハブ大学間の連携

マウントケニア大学(ケニア)主催の第2回 平和・安全保障及び社会的企業に関する国際会議が開催された。本会議は、平和、安全保障、社会経済及び政治的発展を定着させるために必要な最善のパラダイムに焦点を当てることを目的としており、本学の勝身UEAが発表者として参加し、ゴール9ハブ大学の観点から、技術者、安全、持続可能な開発をキーワードとして本学の国際産学連携について説明した。

UN100イニシアチブ・イベントへの参加

国際平和デーである9月21日 (水曜) にボストンフォーラムが主催となるUN100イニシアチブ・イベント「グローバルな啓蒙活動の時代: 平和のための技術」が開催された。本会議では、世界の平和と安全を維持するための技術活用のアイデアについて議論が行われ、本学の勝身UEAが発表者として参加し、ゴール9ハブ大学として、平和のための技術として技術者倫理やSDG9について発表した。

国連システム学術評議会(ACUNS)の年次総会2022に出席

国連システム学術評議会(ACUNS)の年次総会内のパラレルセッションとして開催された「高等教育を通じたSDGsの推進:国連アカデミック・インパクト(UNAI)の事例」において、UNAI SDGsハブ大学から本学(UNAI SDG9ハブ大学)とデモンフォート大学(UNAI SDG16ハブ大学)の2校、UNAI加盟大学から1校(カリフォルニア大学デービス校)が招待を受け、パネリストとして参加した。本学からは、レジリエントな技術を活用したインフラ構築に対する取組や独自の実践教育など、SDG9を軸とする本学の特色ある教育研究活動を紹介した他に、開発途上国における水問題の解決など、SDG9以外の目標達成にも貢献していることについて説明した。



2.SDGs教育の国内外への展開と実践

取組概要
JSTS 2022の開催

9月12日から5日間に渡り、GIGAKU SDG Networkメンバーである国立高等専門学校機構主催、長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学共催でJSTS 2022(Japan Seminar on Technology for Sustainability 2022)を開催した。JSTS2022では、「超スマート社会とクリーンエネルギー実現」をテーマとして実施された。本会議には、本学教員が講師として参加するとともに、本学学生がファシリテーターとして参加した。

SDGs Webinar 2022の開催

10月1日から12月10日にかけて、福島工業高等専門学校主催、長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学共催で「SDGs Webinar 2022」を開催した。福島高専生及び両技科大生を対象に、「アントレプレナーシップ(起業家精神)」をテーマにしたオンライン形式のワークショップを行った。シリコンバレーで起業した日本人や本学教員等が講師として参加した。各グループにわかれてSDGsを取り入れたビジネスモデルの作成に取り組み、最終日には成果発表会を行った。SDGsの指標を掘り下げて考えるというワークショップを実施するなど、参加学生はSDGsについて大いに理解を深めた。

SDGプロフェッショナルコース留学生への奨学金支給

本学のユネスコチェアプログラム「技学SDGインスティテュート」を構成するSDGプロフェッショナルコースの社会人留学生に対し、りそな銀行グループSDGs私募債からの寄附金(約730万円/年)を原資とする奨学金を支給した。このことは発展途上国出身の学生に対する先進的・実践的な工学教育とSDGs教育の機会の拡大に寄与した。

2022年度英語多読マラソン

「2022年度英語多読マラソン」の取り組みにおいて、4月~12月の9カ月間で30万語の読量に到達した2名の方を対象に、表彰式を行った。継続して英語学習に取り組む姿勢と努力に対して敬意を表して、武田雅敏副学長から表彰状と副賞が授与された。

「持続可能な発展のための国際基礎科学年(IYBSSD2022)」の協賛機関として登録

6月30日より開始した国連の「持続可能な発展のための国際基礎科学年(IYBSSD2022)」(The International Year of Basic Sciences for Sustainable Development)の趣旨に賛同し、協賛機関として登録した。IYBSSD協賛機関として、基礎科学と持続的発展との関係に焦点をあてたイベントや情報発信を行うことで、「人類にとっての基礎科学の価値の高さ」と、「持続可能な発展を達成し、世界中の人々の生活の質を向上させるためには、基礎科学に対する世界的な認識を高め、教育を強化することが不可欠である」ことを学内外に周知していく。


3.SDGsの普及啓発活動

取組概要
学生SDGsプロモーターの任命

本学は、SDGs推進のための広報活動やイベントを企画・実施するため、学生組織である学生SDGsプロモーターを設置している。7月に学部学生から社会人学生まで幅広い年代の留学生13名、日本人学生13名の多様な学生計26名を第3期学生SDGsプロモーターに任命した。プロモーターは、4月18日にSDGsゴール12に焦点を当てたワークショップを開催した。また、8月7日に見附市が企画したイベントにSDGsブースを出展、10月2日に放送事業者が企画したイベントにワークショップを出展、10月30日に長岡市が企画したイベントにSDGsブースを出展するなど、地域におけるSDGs推進の機運を醸成した。

SDGs教育ゲームの新規開発と無償公開

企業や教育関係者、市民にSDGsについて認知してもらうため、本学は、子どもから大人まで楽しみながら学べるSDGs教育ゲームを開発し、webサイトで無償公開している。2022年中はSDGs教育ゲームを用いたワークショップを、市や放送事業者等が企画する様々なイベントで出展し、多くの市民にSDGsについて知っていただく機会を提供できた。

長岡技術科学大学・長岡工業高等専門学校SDGs講演会

2月21日に、長岡工業高等専門学校との共催により、SDGsとは何か、SDGsを実現するには何が必要となるのかを市民や企業に分かりやすく伝えるためのSDGs講演会を開催し、120人以上が参加した。本講演会では、「持続可能な循環型社会」をメインに考え、ゲストスピーカーをお呼びし講演していただいたほか、本学教員とのパネルディスカッションを行い、長岡市で持続可能な循環型社会を実現するためにはどうすればよいか、課題や現状について議論した。

産学官金共催によるSDGs講演会

11月29日に、産学官金の各機関との共催によりSDGs講演会を開催し、90人以上が参加した。本講演会では、「地域・企業が持続的に成長するための指針」について講演を通じて示していただき、企業や地域の皆様と共に持続可能な社会の実現に向けた取組を推進する契機にすることができた。

「鉄の生まれ変わり・学びプロジェクト」を開始

本学SDGs推進室は企業やNPO法人と連携し、「鉄の生まれ変わり・学びプロジェクト」を開始した。「鉄」というとても身近な材料のリサイクルを多くの方々に知っていただく活動として開始したもので、プロジェクトの一環として4月10日に鉄のリサイクルに関わる工場見学を実施した。

新潟日報文化賞を受賞

本学のSDGs推進室は、SDGsの推進に関する新潟県内外での啓発活動を初等中等教育機関の児童生徒や一般市民等に対して積極的に行うだけでなく、県内の自治体や産業界に対しても各種講演会やイベント、ワークショップ等によりSDGsに則した経営や行動を行うことの大切さを説明し、具体的な例や先進的な試みを紹介する活動を継続的に実施している。こうした「新潟県内におけるSDGsの啓発活動」の業績が認められて、新潟日報文化賞を受賞した。

「佐渡島 天地人サイエンスプロジェクト2022」にブースを出展

7月30-31日に、「佐渡島 天地人サイエンスプロジェクト2022」にブースを出展した。本プロジェクトは佐渡島の子どもたちにサイエンスを学んでもらうためのものである。ブレーカー水没・復旧実験を通じてSDGsや水害と電気に関する知識や行動への理解を深めてもらうことができた。

キッズフェスティバル2022

10月2日、新潟県内の放送事業者からの依頼を受け、キッズフェスティバル2022においてSDGs教育教材・ゲームを用いたワークショップを実施した。家族連れを中心とした多くの方から本学のブースにお立ち寄りいただき、様々なコンテンツを体験していただくことで、多くの方からSDGsについて知っていただく機会を提供できた。特設ステージのSDGsパートでは、本学が企画した対決型ゲームを実施し、楽しみながらSDGsについて学ぶことができた。

ラジオ番組を介したSDGs周知活動

新潟を代表する放送局のラジオ番組にレギュラー出演し、「SDGs de はぐくむコラム」にて記載した内容を同番組にて紹介した。これまでに「先入観・固定観念・偏見を捨てよう!」「バックキャスティング思考で世界を変える!?」「つくる責任 つかう責任 あなたの責任!?」「英語はSDGs達成に貢献するための道具!?」の4つのコラムが紹介され、子育て中のリスナーに対し、こどもたちの未来のためになるSDGsをべースとした話題、暮らしのヒントと等を提供した。


持続可能な開発目標の達成に役立つ可能性のある、長岡技術科学大学で現在行われている学術研究

学術研究概要
JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の地域共創分野・本格型に採択

「“コメどころ”新潟地域共創による資源完全循環型バイオコミュニティ拠点」として、本事業に採択された。コメの価格下落や農業従事者の高齢化・後継者不足といった地域の課題を解決するために、農家や米菓製造業者などを始めとする地域のステークホルダーとの間で「10 年後にありたい将来の姿(ビジョン)」について議論を重ねた。そのうえで、農家が安定的にコメ作りを続けていける環境、また生産されたコメを活用して製造業が付加価値の高い製品を生み出すことが重要であるとの意識を皆で共有し、地域全体が「田んぼ」とのつながりを意識して、地域の宝である「田んぼ」を守り続けるための研究開発を進めていく。

障害者の生涯学習支援活動

車いすに代表される障がい者スポーツ用具の研究・開発を通じて障がいのある人々への生涯学習支援活動に取り組んできた。障がい者らとの交流や意見交換に留まるのではなく、教育や社会生活といった幅広い分野における講演招へいや、高専との教育・研究連携を通じてアシスティブ・テクノロジー(AT)に関連する技術者・研究者の人材育成を目的とした障がい者と学生・教員・企業を含めた恊働教育の実践といった活動の展開にも貢献している。これらの活動は文部科学大臣表彰において、「障害者の生涯学習支援活動功労者表彰」を受賞した。(本研究の中心教員:塩野谷明 教授)

フェムト秒レーザ熱還元を利用した金属の3次元微細造形法の創製

各種センサやデバイスのプリント製造技術は、低環境負荷の簡易な製造方法として注目されている。我々の研究グループでは、フェムト秒レーザ熱還元を利用した金属の3次元微細造形法の創製に取り組んでいる。本技術は、金属錯体や金属酸化物ナノ粒子を原料インクとして用い、大気中でフェムト秒レーザパルスを照射することにより金属を析出・焼結させる。そのため、通常のリソグラフィや真空成膜法を組み合わせた多段階プロセスと異なり、真空フリー環境下で金属パターンを直接描画形成できる。このプロセスを様々な材料へ応用することで任意形状のデバイスのマスクレス製造の実現が期待できる。(本研究の中心教員:溝尻瑞枝 准教授)

メタンガスを作る微生物にとって最適な家を作る

嫌気性廃水処理(メタン発酵)プロセスは省エネルギーかつメタンガスを回収出来る創エネルギー型の有機性廃水処理技術である。また、生産されるバイオガスは再生可能エネルギーであることから、嫌気性処理プロセスの重要性はますます高まっている。この嫌気性廃水処理プロセスを安定的に運転するためには、メタンガスを作るメタン菌と、有機物を分解しメタン菌の餌を作る細菌を一緒に効率的に処理槽内に保持する事が重要である。
そこで、私共の研究グループでは、これらメタン菌を含む嫌気性処理に重要な微生物を効率的に保持できる微生物保持促進材を混合した微生物担体を開発した。(本研究の中心教員:幡本将史 准教授)

SDGs達成のための人工システム-人間相互作用デザインガイドライン

本研究の目的は、人工物のデザインにおいて戦略的にデザイン解の探索を行うためのガイドラインを提案することである。ガイドラインは、北島・豊田が開発した認知アーキテクチャ「実時間制約下のモデルヒューマンプロセッサ」による人間-人工物相互作用プロセスのシミュレーション結果に基づいて作成され,行動目標レベル、意識的行動・無意識的行動の協調レベル、知覚・認知・運動プロセス・記憶利用プロセスと外部環境との同期レベルの3つのレベルで構成される。ガイドラインの適用方法として、成功しているデザインをガイドラインに即して理解し成功要因を知る方法、人工物のデザイン解候補をガイドラインに従って絞り込む方法が示される。(本研究の中心教員:北島宗雄 特任教授)

地域防災実践研究センターを活用した防災・減災に関する研究成果の社会実装化

本学の地域防災実践研究センターでは、東京電力ホールディングス株式会社との共同研究により、汚水を浄化するウォーターチェンジャーを開発し、2022年に新潟県防災クラスター事業第1号製品として実用化された。このウォーターチェンジャーは、微生物の分解作用を用いた生物処理をソーラー駆動で行い、災害時に生活用の安全な水を提供する。昨年8月には100万人以上の人々が訪れる長岡まつり大花火大会会場の手洗い場に設置され、常に安全で綺麗な手洗い水を提供した。本学が目指すSDGs ゴール9の「持続可能かつ強靭なインフラ」を形成する取組の代表例になっている。


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大学戦略課 国際・高専連携戦略室 プロジェクト企画係
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