―― まずは、ご自身の研究テーマについて教えてください。
私は「物理法則に基づくニューラルネットワーク(PINNs: Physics-Informed Neural Networks)」の研究をしています。一般的なAIは大量のデータを学習させますが、私はAIに「音の物理法則(仕組み)」そのものを教え込むことで、より賢いAIを作ることを目指しています。具体的には、人の声帯の病気診断や、トランペットなどの楽器設計への応用です。この「音×物理法則×AI」という分野はまだ新しく、世界的にも取り組んでいる研究者は非常に少ない状況です。この未開拓な分野を切り拓くことに大きなやりがいを感じています。
―― 長岡技術科学大学を選んだ決め手は?
研究環境の充実度が決め手でした。本学には非常に高性能な「無響室」があり、音の研究者にとってこれほど恵まれた環境はありません。また、本学は高専出身の学生が多く、彼らが非常に高い技術的モチベーションを持っていることも知っていました。「意欲ある学生」と「最高の設備」があれば、研究は必ず発展すると確信して着任しました。
―― 実際に着任されて、環境はいかがでしたか?
想像以上でした。特に驚いたのは技術職員のレベルの高さと手厚いサポートです。実験装置を作りたいと相談した際、単に作るだけでなく「こういう仕組みにしたらもっと良くなる」と専門的な提案をしてくれ、オーダーメイドで作製してくれました。また、私はロボコン部の顧問も務めていますが、学生たちの熱量は凄まじく、今年(2025年)はNHK学生ロボコンでベスト4まで進出しました。技術的な思考を持った学生と共に研究・活動できるのは、若手教員として非常に刺激的です。