勝木将人准教授が日本頭痛学会喜多村賞を受賞しました

体育・保健センター 勝木将人准教授が、日本頭痛学会喜多村賞を受賞しました。
本賞は、日本頭痛学会において若手研究者の症例を目的として1996年に創設され、日本頭痛学会総会で発表された最も優れた演題の演者(発表時満40歳未満)に授与されます。表彰式は2024年12月6日 第52回日本頭痛学会総会(新横浜プリンスホテル)において行われました。

【受賞内容の概要】

「医療レセプトデータ REZULT に基づく医原性薬剤の使用過多による頭痛の現状解析」
本研究では、頭痛患者に対する処方パターンについて、横断的研究と、経時的変化を観察した縦断的研究の2つを行いました。医原性薬物乱用頭痛が否定できない処方(以下過剰処方)はトリプタンと複合鎮痛薬(30錠/90日以上)、鎮痛薬単剤(45錠/90日以上)としました。 
横断的研究では、2020年のレセプトデータから、急性期治療薬の処方粒数が最大となる90日間を抽出し、過剰処方の割合を検討しました。急性期治療薬が処方されていた患者15,524患者のうち、1,992例(12.8%)に過剰処方が認められました。
縦断的研究では、2010から2022年までのレセプトデータを用いて、初診時から2年間の処方パターンを追跡しました。頭痛初診から2年間追跡できた545,021患者のうち、2年間で過剰処方を1度でも経験した患者は40,082例(10.1%)でした。

勝木将人准教授からのコメント

この度、日本頭痛学会より喜多村賞を受賞いたしました。本研究が頭痛患者に対する処方パターンに関して新たな知見を提供できたことを、大変光栄に思います。これらの結果は、医原性薬物乱用頭痛のリスクが依然として高いことを示しており、急性期治療薬の適切な使用と処方および予防治療薬の積極的な使用が強く求められています。今後、患者と医療従事者が薬物乱用頭痛のリスクについて正しく認識し、適切な治療法を選択できるよう、医療AI開発や頭痛啓発活動など、幅広く行っていきたいと考えています。また、医原性薬物乱用頭痛を啓発するために、保険者や患者、医療機関向けの疾患啓発活動を推進していく予定です。この受賞を契機に、今後も患者様の生活の質を向上させるための研究に尽力し、薬物乱用頭痛に関する新たな予防策や治療法を提案していきたいと考えています。