令和7年度学部入学式並びに大学院入学式を挙行しました

4月5日(土曜日)に長岡市立劇場で令和7年度学部入学式並びに大学院入学式を挙行しました。
学部入学者479名、大学院5年一貫制博士課程入学者12名、大学院修士課程入学者409名、大学院博士後期課程入学者19名が、学長より入学を許可されました。
引き続き、入学生を代表して、学部第3学年情報・経営システム工学分野の山本真さんが宣誓を行いました。

式典映像を国立大学法人長岡技術科学大学 ライブ配信チャンネルにて視聴することができます。ぜひご確認ください。

なお、学長の告辞は次のとおりです。

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。長岡技術科学大学の教職員を代表しまして、心より歓迎するとともに、日々誠実に努力を積み重ね、晴れて本学に入学されました皆さんに、敬意を表したいと思います。また、これまで皆さんを支えてこられ、本日を迎えられましたご家族の皆様にも、心からお祝い申し上げます。 

 皆さんは、この春から全国あるいは世界各国から親元を離れ、この長岡の地で、多くの仲間とともに、かけがえのない貴重な時間を共有していくことになります。本学は、多くの留学生が在籍しており、国内でも有数の国際性豊かな大学です。これからの大学生活の中で、多くの友人と出会い、多様な考え方や異なる文化に触れ、互いに認め合いながら、様々な価値観を尊重することを大切にしてください。大学で出会った友人は、皆さんにとって生涯の大きな財産となるはずです。

 現在の日本社会は先の見通せない予測困難な「VUCA(ブーカ)の時代」と言われます。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取り、変動性が高く、不確実で複雑、さらに曖昧さを含んだ社会情勢を示すものです。コロナ禍においては、想定外のことが次々に発生し、これまでの常識が大きく覆されたことが記憶に新しいのではないでしょうか。今後も長く続くと予想される「VUCAの時代」では、アジャイル思考やAI等だけでは代替できない力が必要であり、それらを高めておくことが大変重要となります。

 一方で、近年、「持続可能」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。代表的なものとしては、「国連が掲げる持続可能な開発目標『SDGs』」です。本学では、「技学SDGインスティテュート」と「技学SDGネットワーク」が、それぞれユネスコの「チェアプログラム」と「ユニツインネットワーク」として認定を受けるなど、SDGs推進大学として高く評価されています。本学のSDGs達成に向けた活動への、大きな期待を表すもので、大変名誉なことと思っています。皆さんも、本学での生活や研究において、これらの言葉をこれまで以上に目にすることになるでしょう。皆さんがSDGs達成に向け、積極的に活動することを大いに期待しています。

 さて、長岡技術科学大学は、実践的な技術の開発を主眼とした教育研究を行う、大学院に重点を置いた工科系の大学として1976年に開学し、2026年(令和8年)に50周年を迎えます。社会課題解決に必要な学術研究を産み出すために、現場での実践を重んじている本学では、学部で約5か月間の長期間にわたる実務訓練を実施し、実践の中から「考え出す力」を育むとともに、SDGs達成に貢献し、グローバルに活躍できる実践的・創造的能力を備えた技術者の養成を目指しています。特に、データサイエンスやAIを有効活用でき、Society5.0の実現を牽引できる横断的・異分野融合的な知を備えた「STEM人材」、さらに俯瞰的視野から社会変革に対応し、マネジメント力を発揮できる「STEAM人材」を育成します。そのため、実務訓練や企業との共同研究等を通じた産学協働教育に加え、令和4年度からの改組において工学分野を大括り化し、令和6年度からはメジャー・マイナーコースや技術革新フロンティアコースを導入することで、学際的な教育研究プログラムを本格的に推進しています。自らを磨く糧として貪欲に吸収し、あるいは本質の探究に努め、その学びの過程を通して、本学の理念である「考え出す力」、「未来を予測し、未来を創る力」をしっかりと育み、目まぐるしく変化する社会構造に臨機応変に対応できる力を身に着けてください。

 さらに研究開発面では、令和6年度に「大学の国際化によるソーシャル・インパクト創出支援事業」と「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(通称J-PEAKS)」の2つの大型プロジェクトに採択されました。前者では、技学の理念を具現化するために地方自治体、地域企業、高専、海外拠点と連携し、地域社会との協働により多文化共修を技学教育に組り込み、「グローバル技学共修教育」へと発展させることで、地域課題の理解・解決を志向し、それを達成し得るグローバルR&D人材を育成することを目指しています。さらに、実践的な多文化共修により、育成した人材を核として大学発、地域発ソーシャル・インパクトを引き起こすことを目指します。また、「J-PEAKS」では、「社会と大学のサスティナビリティの共進化」により、これまで本学が「研究の強みとしてきた分野」と、「地域の魅力」をかけ合わせた4分野において社会変革を生み出し続けるSX研究大学を目指します。そのため、「技術科学」のコンセプトを「総合知」へ拡張し、若手・中堅を中心とした研究ユニットと国内外の著名な研究者・技術者との研究連携を強化し、「ソーシャル・インパクト」を生み出し続け、地域を牽引する研究大学としての機能を強化します。これらの取組を通じて10年後には世界トップ1%のSX研究大学を目指しています。

 皆さんはこのような、本学で推進する大型教育研究プロジェクト等へ積極的に参加し、質の高い教育研究環境の中で、将来の夢を描きながら、勉学に励んでください。その際には、最先端の知識や技術の習得に留まらず、正しい情報を選別し、正しく状況を把握する「情報選択・判断能力」、確実性の高い仮説を考え出し、望ましい目標に近づける「モデル構築能力」、そのモデルについて失敗を怖れず、かつ前例にとらわれずに検証する「実行力」も身に着けてください。この3つの能力を備えることにより「真の実践的技術者」と成り得ます。肝に銘じておいてください。一方で、真の国際人になるためには、日本の文化の特徴をよく理解し、価値観の幅を広げることも不可欠です。そして諸外国との文化や考え方の違いを良く知ったうえで、外国の異文化に接し、その国の文化を学び、また自らが国際社会の中で理解されるよう努めてください。

 皆さんの大学生活を更に実りあるものとし、将来的にグローバルエンジニアとして活躍するためには、まずは海外に出て、多様な価値観や思考、教養、文化を涵養することが重要です。そして、世界各国からの留学生や、教員・技術者・企業人とともに学び、研究活動や交流を深めることにより、世界標準のダイバーシティを認識し、国際感覚を身に着けるように心がけてください。そうすることで、真の意味でのグローバルに活躍できるエンジニアとなれるでしょう。

 また、改めて日本の歴史や文化への造詣を深め、これから縁あって過ごす、長岡で出会う地域の方々との交流や、地域文化に触れることも大切にしてください。結びになりますが、開学以来の本学のモットーであるVOS、すなわちVitality(活力)、Originality(独創力)、Services(世のための奉仕)の精神をもって、皆さんのこれからの学生生活が充実した日々となり、VUCAの時代を乗り越えられる力を獲得することを祈念いたしまして、歓迎の挨拶とします。

令和7年4月5日
長岡技術科学大学長  鎌土 重晴

入学生代表宣誓
学長告辞