情報科学と電力工学の融合で創るモータのモノづくり技術革新 – 日高 勇気
電気電子情報系 准教授 日高 勇気
電気自動車や電動航空機など、移動体の動力源にモータが使われる時代を迎えています。家庭用・業務用・産業用など、様々な用途で使用されるモータは、その普及台数が1億台とも言われ、モータが無ければ世界が回らないと言っても過言ではありません。しかし、誕生からの歴史が古いモータは、製造/生産技術において固定観念に捉われており、性能革新と呼ばれる技術進化が、乏しいアプリケーションとも言えます。
私の研究室では、図1に示すように情報科学と電力工学を融合し、モータのモノづくりを抜本的に変える取組を行っております。AIやスーパーコンピュータなど、情報科学技術の発展は目まぐるしく、ChatGPTで学習効率を上げる器用な学生も多くなってきました。我々教員としては非常に危機感を覚えるところですが、こういった有用なツールは使わない手はないと考えています。モータは、モノづくりありきで最適設計を考える慣習が強いですが、私の研究ではどう造るかを考えて設計するのではなく、性能重視の最適設計を追求し、それを実現するモノづくりを考えるアプローチを目指しています。そのため、設計の初期段階では、モノづくりは度外視し、数値最適化やAIなどを活用し、出力・効率などスペックのみに着目した最適設計を行います。もちろん、ここで研究を終えてはただの自己満足です。図2のように、次のステップでは得られた最適設計を実現するための、モノづくりのアイデアを学生と一緒に考えます。これまでにも、独自の構造アイデアを提案し、積極的に学会等で公表してきました。私自身、前職が電機メーカで製造の最前線を経験してきました。モノづくりの現状を知り、提案するアイデアの実現可能性についても、検討に手を抜きません。
この研究は、カーボンニュートラル社会のキーパーツである、モータの性能革新を画策した取組であり、SDGsのゴール9へ繋がる、重要な研究テーマであると考えております。


日高 勇気 Hidaka Yuki
電気電子情報系 准教授
- 2021年4月 - 現在長岡技術科学大学 工学部 電気電子情報工学専攻 准教授
- 2014年4月 - 2021年3月三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 研究開発員