平時と有事のリスクに備えた地域のグランドデザイン – 松川 寿也
環境社会基盤系 准教授 松川 寿也
私たちの住む身近な地域では様々な課題を抱えています。その課題は大きくは2つのリスクに区分できます。ひとつ目のリスクは人口減少、高齢社会に突入したことで生じる様々な弊害です。その弊害を克服して、誰もが快適かつ安全に暮らしていくまちづくりをしていかなければなりません。現状を放置すれば、人口減少にあわせて公共交通や食品スーパーなどの日常生活に必要な機能やサービスが撤退、さらには自治体の財政的余力が低下する一方で地域のインフラが老朽化するなど、このままでは私たちの生活環境が長期間維持できなくなる「平時のリスク」を抱えることになります。
2つ目のリスクは、近年頻発化、激甚化する自然災害に備えた地域づくりを考えていく必要があります。水害リスクのある場所で新しく整備された住宅地が浸水したという話は最近よく耳にします。そのため、災害という有事のリスクに備えた都市づくりも重要です。
本学が得意とするテクノロジーの力(高度な自動運転、AIで災害を予測など)だけで、これらの課題を全ての国民が直ちに解決できる訳ではありません。こうした地域の課題を解決する方策は様々ありますが、私たちが住む都市や地域の然るべきグランドデザインを都市計画をはじめとする社会の仕組みを駆使して取り組んでいくことが重要です。現在の地方都市で起きている様々な現象や社会の仕組みに起因する都市問題を実証した上で、「生活利便施設やバス路線が撤退しないようにするための街の設計はどうあるべきか」、「災害に強い安全安心な街をつくるための土地建物利用のルールはどうあるべきか」、「空家の発生を根本的に抑制するために必要な都市政策とは何か」などを探求することで、SDGs11が目指す「住み続けられるまちづくりを」だけにとどまらず、SDGs15「陸の豊かさも守ろう」の実現にも寄与する研究に取組んでいます。

リスクに備えた都市計画を検討

松川 寿也 Matsukawa Toshiya
環境社会基盤系 准教授
- 2007年4月 - 現在 長岡技術科学大学 助教
- 2007年4月 - 2008年3月 国土交通省国土交通政策研究所 客員研究官
- 2006年7月 - 2007年3月 長岡技術科学大学 助手