戸田智之准教授が第17回ブリヂストンソフトマテリアルフロンティア賞奨励賞を受賞しました

物質生物系 戸田智之准教授が、第17回ブリヂストンソフトマテリアルフロンティア賞奨励賞を受賞しました。

【受賞内容の概要】

本業績は、バイオマス由来1,3-ブタジエンを原料とした合成ゴム材料の創製と、その実用的成立性を明らかにした研究に関するものです。現在、タイヤ用途をはじめとする合成ゴム材料の多くは石油ナフサ分解によって得られる1,3-ブタジエンを基幹原料として製造されており、石油資源への依存が極めて高い一方、カーボンニュートラル社会の実現や資源制約への対応の観点から、再生可能資源を原料とする基幹化学品への転換はゴム産業における重要課題となっています。しかしながら、炭素数4化成品である1,3-ブタジエンをバイオマスから合成し、既存の高性能ゴム材料へ適用した研究例は国内外において極めて限られていました。
本研究では、これまでに確立されていたエリスリトール由来1,3-ブタジエン合成技術を基盤とし、当該モノマーを実際のゴム材料へ展開可能かを体系的に検証しました。戸田准教授は主として重合設計、分子構造解析および物性評価を担当し、バイオ由来モノマーの材料適用性を明らかにする中核的役割を担いました。まず、高cis-1,4-ポリブタジエンゴムの合成において、石油由来ブタジエンを用いた場合と同等のcis含量および分子量、分子量分布を達成し、さらに、スチレンブタジエンゴムおよびポリブタジエンラテックスへ展開し、分子構造、熱特性および機械物性が既存材料と同等レベルであることを実証しました。
これらの成果は、バイオマス由来1,3-ブタジエンが既存の重合プロセスに直接適用可能であり、原料のみを再生可能資源へ置換しつつ材料性能を維持できる可能性を示した点で重要です。すなわち、本研究はバイオ由来化成品を「合成可能」である段階から、「同等性能材料として実用的に成立する」段階へと進展させたものであり、合成ゴム分野における持続可能性の具体的指針を提示しました。この成果は将来的な社会実装に向けた技術的障壁を低減するものといえます。加えて、炭素数4基幹モノマーのバイオマス転換という未開拓領域に対し、高分子材料化の観点から体系的知見を提供した点で学術的独自性も高いです。
このように、本業績はバイオマス由来原料を用いた合成ゴム材料の実用可能性を初めて包括的に示したものであり、持続可能なゴム産業の実現に向けて学術的・産業的双方に重要な貢献をなす成果であることが高く評価されました。

表彰式(戸田准教授:右から2番目)  
表彰状