多孔質材料の弱点である低い変形能力を克服-「空隙ネットワーク」の制御手法を新開発、医療・航空分野への応用に期待-
2026.07.07
ポイント
- 金属材料の内部にある微小な穴(空隙)のつながりをネットワークとして捉え、その配置を最適化する独創的な設計手法を提案。
- 空隙ネットワークの制御により、破壊せずに引き伸ばしできる性質(延性)を向上。
- 空隙の「量」ではなく「配置」による機械的特性の制御手法として、材料設計の常識の変革に期待。
概要
長岡技術科学大学技学研究院システム安全系の大塚雄市准教授、大学院工学研究科技術科学イノベーション専攻の豊場亮太(5年一貫制博士課程5年大学院生、岐阜工業高等専門学校出身)らの研究グループは、材料内部に分散する空隙クラスター(集団)の相互作用を「ネットワーク」としてモデル化し、その接続特性を最適化することで延性を向上させる新設計手法を開発しました。
空隙間の応力集中の干渉をネットワークの近接性として定義し、数値解析と実証実験を組み合わせた結果、特定のネットワーク指標を制御する空隙配置の最適化によって、空隙率を変動させることなく延性を最大40%向上させることに成功しました(図1)。本成果は、3Dプリンティング材料に代表される多孔質材料の低い変形能力を克服し、材料設計の常識を「欠陥(空隙)の排除」から「欠陥ネットワークの最適配置」へと転換させる学術的意義を有しています。

研究成果の公表
論文タイトル:Ductility Tuning via Cluster Network Characteristics of Porous Components
著者名:Ryota Toyoba, Yuichi Otsuka, Ian J. Davies, Naritoshi Aoyagi, and Yukio Miyashita.
掲載誌:Advanced Materials Technologies
巻・号:Vol.11(10)
公開日:2026年 5月 22日(早期公開日 2026年1月31日)
DOI:https://doi.org/10.1002/admt.202501991
研究内容の詳細(プレスリリース本文)
本学の主な研究者
システム安全系 大塚雄市准教授
大学院工学研究科技術科学イノベーション専攻 豊場亮太(5年一貫制博士課程5年大学院生、岐阜工業高等専門学校出身)
研究者のコメント
「空隙ネットワークの最適配置によって力学特性を制御する手法を開発しました。本手法は、複雑に見える構造を取り扱いながらも、応力集中という単純な原理で説明されます。積層造形技術を活用した製品設計に応用されるよう、手法の一般化に向けて頑張ってまいります。」(豊場さん)