人工細胞膜を自動で形成するナノポアセンサを開発-ナノポアセンサの病気診断への応用を加速-

ポイント

  • 人工細胞膜(注1)の形成位置とナノポア数を自動で検出し、人工細胞膜を繰返し形成する自動膜形成システムを提案
  • オペレーターの介入無しで長時間のナノポアセンシング(注2)を実施することに成功
  • 完全自動・高効率な単一分子計測への応用展開に期待

概要

長岡技術科学大学技学研究院機械系の庄司観准教授、同大学大学院工学研究科機械工学分野の石塚洋渡(修士課程大学院生、2023年度修了、木更津高専出身)、中山裕貴(修士課程大学院生、2025年度修了、米子高専出身)同大学日本学術振興会特別研究員(PD)の岡田瞬(米子高専出身)の研究グループは、電極の先端に人工細胞膜を形成可能なプローブ型人工細胞膜形成システム(参考文献1、注3)の動作を静電容量およびイオン電流フィードバック制御することで、人工細胞膜の形成・割れおよび生体ナノポアの再構築数を認識し、自動的に人工細胞膜を形成することが可能な自動ナノポアセンサを開発しました(図1)。本センサを用いることで、実験者の操作なしに多数の計測データを効率よく集められるようになります。将来的には、血液や尿などから病気を診断する技術への応用が期待されます。

図1:自動ナノポアセンサの概略図。静電容量計測により人工細胞膜が形成される位置を決定した後に、イオン電流から膜に再構築されたポア数を認識し、複数のポアが構築されたと判断すると人工細胞膜を再形成する。
図2:開発した自動ナノポアセンサによる分子検出結果。3時間にわたって安定した計測結果が得られた。

補足説明

(注1) 人工細胞膜
リン脂質の自己組織化により構築される2分子膜。ポア形成膜タンパク質が再構築する足場となる。

(注2) ナノポアセンシング
人工細胞膜に再構築されたポア形成膜タンパク質を用いたセンシング技術。ポア形成膜タンパク質によって構築されたナノポアと標的分子の相互作用によるイオン電流の変化から標的分子を検出する。

(注3) プローブ型人工細胞膜形成システム
先端が親水性のマイクロ・ナノ電極を脂質溶液と水溶液が層となった浴溶液に挿入することで電極先端に人工細胞膜を形成することが可能なシステム。

(参考文献1)K. Shoji, R. Kawano, and R. J. White, "Recessed Ag/AgCl Microelectrode-Supported Lipid Bilayer for Nanopore Sensing," Anal. Chem., vol. 92, no. 15, pp. 10856-10862, 2020.

論文情報

本研究成果は、Elsevier社が発行するAnalytica Chimica Acta(電子版9月5日付)に掲載されました。
論文タイトル:Automated Nanopore Sensing by Current-Feedback Membrane Reformation
著者名:Hiroto Ishizuka, Yuki Nakayama, Shun Okada, and Kan Shoji
掲載誌:Analytica Chimica Acta
掲載日:2026年9月5日
DOI:https://doi.org/10.1016/j.aca.2026.346229

研究内容の詳細(プレスリリース本文)

本学の研究者

機械系 庄司観 准教授
大学院工学研究科機械工学分野 石塚洋渡(修士課程大学院生、2023年度修了、木更津高専出身)、中山裕貴(修士課程大学院生、2025年度修了、米子高専出身)
日本学術振興会 岡田瞬 特別研究員(PD)(米子高専出身)