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河原成元准教授が日本ゴム協会科学技術奨励賞を受賞しました。

更新日:2015年6月2日

 物質材料工学専攻 河原准教授が、日本ゴム協会科学技術奨励賞を受賞しました。受賞の対象となった論文は「NMR法による加硫ゴムの構造解析に関する研究」です。科学技術奨励賞は、日本ゴム協会創立50周年を記念して、ゴムおよびプラスチックスに関連する科学および技術の進歩発展に寄与する研究および調査を行っている研究者に授与される賞です。授賞式は、5月21日に日本ゴム協会第4回定時社員総会(京都工芸繊維大学)において行われました。

受賞内容の概要

 架橋点は、加硫ゴムの力学物性に重要な役割を果たす因子であり、精緻に解析する必要があります。これまでの研究では、推定構造および推定計算に立脚した高出力デカップリング・マジック角回転・固体NMR法により、加硫ゴムの構造解析が行われてきました。しかしながら、この方法では架橋点の構造に関する正確な情報を得ることは困難であることが問題となっていました。本研究では、ラテックスNMR法および磁場勾配・マジック角回転・固体NMR法を開発し、炭素13(13C)とプロトン(1H)の相関を正確に解析する方法を確立しました。これらの方法により、加硫天然ゴムの架橋点は、これまでの報告にあるような硫黄に結合した3級炭素だけではなく、硫黄に結合した4級炭素も含まれることを見出しました。さらに、硫黄に結合した3級炭素の隣には不飽和炭素だけではなく飽和炭素も存在していることや、44ppm(13C-NMRスペクトル)のシグナルは硫黄に結合した炭素ではなく硫黄に結合した炭素に隣接する2級炭素であることを実証しました。これにより、これまでの研究で配合設計の拠りどころとされてきたNMRスペクトルのシグナルの帰属に誤りがあることを見出し、2次元NMR法によりシグナルを実証的に帰属できるようにしました。これは、これまでの経験と勘に頼ってきた配合設計をNMR法による構造解析に基づく配合設計へとシフトさせることに繋がり、今後のゴム産業への貢献が期待されています。

日本ゴム協会長・五十野殿(本学教授)から表彰される河原准教授(写真右側)
日本ゴム協会長・五十野殿(本学教授)から
表彰される河原准教授(写真右側)

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