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天然ゴムエコシステムの開発

更新日:2022年3月1日

担当教員

物質材料工学専攻 グリーン資源化学研究室 河原 成元 教授
外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。https://mst.nagaokaut.ac.jp/organic/kawahara/

研究課題の概要

天然ゴムを原料とするエコシステム(天然ゴムエコシステム)は、持続可能な社会を構築するために重要な要素です。なぜなら、天然ゴムは、砂漠に育つグアユールから熱帯雨林に群生するパラゴムノキまでの多くの植物から得られる二次代謝産物であり、植物を伐採せずに原料として取り出すことができるからです。すなわち、天然ゴムエコシステムは、地球上のあらゆる国や地域に育つ植物と共存共栄を図りながら、天然ゴムを取り出し、人類の生活を支える製品を持続的に創り出す循環システムであるといえます。これは、砂漠を緑化し、植物の育成に有利な環境を整えることに繋がるため、植物は生い茂り、森林は拡大すると考えられます。森林が拡大すれば二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガス(GHG)の吸収量は増えるため、「温室効果ガスの排出量を2050年までに80%削減」という目標に貢献すると考えられます。

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天然ゴムエコシステムは、天然ゴムを精製および乾燥することから始まります。精製した天然ゴムに種々の物質を反応および混合し、ナノ構造を精密制御することにより製品を製造します。製品は使用した後、生分解により有価産物を回収し、再利用してから完全生分解によりCO2として大気中に放出されます。放出されたCO2は天然ゴムを生産する植物によってダイレクトに捕獲されます(DAC)。捕獲されたCO2は天然ゴムを生合成する原料として使用され、地球規模の炭素循環が無限に続きます。すなわち天然ゴムエコシステムは、天然ゴムを原料とする化学(天然ゴム化学)を基礎としています。

天然ゴムエコシステムを開発するためには、天然ゴムを完全に精製する技術を確立しなければなりません。そのためには、天然ゴムの未知の構造を解明する必要があります。我々はこれまでの研究で、天然ゴムの物性が優れている原因を解明するため精緻に構造解析を行い,天然ゴムの非ゴム成分がcis-1,4-ポリイソプレンの末端基に結合していることおよびナノマトリックスを形成していることを発見しました。この発見に基づき,タンパク質を完全に除去した天然ゴムを作製し,現在ではこれを原料とする化学の分野を創成することを目指して研究を行っています。これまでの研究では,ナノマトリックスのタンパク質を無機ナノ粒子に置き換えることにより有機-無機ナノマトリックス構造を有する有機材料を創製し,タンパク質を完全に除去した天然ゴムに酸素,二酸化炭素,水,水素,桂皮酸系モノマーをそれぞれ反応させることにより水酸基含有天然ゴム,エポキシ化天然ゴム,環状カーボネート化天然ゴム,水素化天然ゴムおよびフェニル基含有天然ゴムを新規物質として創製しています。現在、反応および混合を増やし、製品のラインアップを増やす検討を行っています。

関連ゴール



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